彰は俺を優しくベッドへ押し倒すと、パサリと浴衣を脱ぎ捨てた。一見ほっそりしているというのに、その体には意外なほどの筋肉が付いていた。がりがりの俺の体とは、大違いだ。腹筋も綺麗に割れていて、俺は思わず見とれた。 　――やっぱ、鍛えてんのかな……。 　浮かんだ疑問を、俺は口に出さずにはおれなかった。 「なあ。何かスポーツとか、してんの？」 「ん？　まあね。こういう仕事だと、運動不足になりがちだし……」 　彰は俺の額や頬に、ちゅっちゅっとキスを繰り返す。まるで親が赤ん坊にするみたいに。俺は、何となく気恥ずかしくなった。 「――あのさ」 「何？」 「お前、俺のどこが好きなの？」 「素直で可愛いとこ」 「えー、俺、素直か？」 　――むしろ、彰には散々悪態をついてきたと思うんだけど……。 「うん。昴太は一見、口は悪いけど、実際はすごく真面目で純粋だ。仕事にも一生懸命だし、周囲の人たちのことも誠実に思いやってる。そりゃ、単純バカな所もあるけど……」 「おい！　単純バカは認めるけど……、今それを言うか？」 「君が聞いてきたんじゃないか……。さあ、そろそろ、おしゃべりは止めにしよう？」 　彰は俺の頬を両手で包み込むと、唇を重ねてきた。啄むような口づけを繰り返した後、熱い舌が入って来る。さっきの路地裏でのキスで、すでに火が付きかけていた俺の躰は、それだけでいとも簡単に昂っていく。キスだけで反応してしまったのがばれないよう、俺は身をよじって誤魔化そうとした。 「んっ……！」 　不意に、胸の突起をきゅっとつままれ、俺は声にならない悲鳴を上げた。彰はいつの間にか、俺の浴衣の襟の隙間から片手を侵入させていたのだ。 　――やばい。俺、胸弱いのに……。 　彰は、口づけを繰り返しながら、俺の浴衣の前を広げ、両方の手で乳首を愛撫し始める。執拗に撫でられ、こねくり回されて、俺は一気に全身が熱くなっていくのを感じた。身体の中心は、すでに痛いほど張り詰めている。 「んっ、んっ……」 　その間も、キスは続いている。俺はだんだん、息が上がってきた。 　――酸欠になりそう……。