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第40話 また会いたい
――こいつ、何考えてんだよ。
さすがにお人好しの俺も、その言葉には怒りを覚えた。俺がゲイだと知った時の暴言もさることながら、あいつが触れ回ったせいで、俺は高校卒業までずっと、いじめられ続けたではないか。あいつは、それを見て見ぬふりしていた。あの一年半の苦しみが、ごめんの一言で償えるとでも思うのか……。
しかし、拓斗はそんな俺の思いに気づかないようで、さらに続けた。
「今度、二人で遊びに行こうぜ。ほら、俺たちが好きだったバンド。あのライブにでも……」
「悪いけど」
俺は、きっぱりと拓斗の言葉を遮った。
「俺、付き合ってる奴がいるから。だから他の男と二人でとか、無理」
「――そうなんだ」
拓斗は、俺の強い口調に、ちょっとひるんだようだった。
「それって、昨日一緒にいた奴?」
――やっぱり、そう思ってやがる。彰がマスコミにさらされるようなことになったら、ヤバイな……。
「あいつは関係無い。でも、他に彼氏がいるから」
しかし、拓斗はそれでもめげなかった。
「じゃあさ、他の奴らも一緒なら、問題無いよな? なあ、そうしようぜ。俺、また風間に会いたい」
何気なく言ったのだろうが、会いたいという言葉に、俺は不覚にもドキリとしてしまった。同時に、昨日ちらと見た、懐かしい面影が脳裏をよぎる。
――馬鹿、何考えてる。俺には、彰がいるだろうが……。
『彼に気持ちを傾けないで』
『人の本質なんて、そうそう変わるもんじゃないんだから』
彰の言葉が蘇る。しかし拓斗は、俺の沈黙を肯定と捉えたらしく、「それじゃ、また連絡するな」と一方的に告げて、電話を切ってしまった。
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