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第45話 自分から告白したなんて、初めて

「すみません、せっかくの二人きりの時間を、邪魔してしまって」  匠さんは、俺の前に座ると、にっこり笑った。直前までしていたことを見透かされたようで、俺はうろたえた。 「いや、別に……」 「風間さんて、兄とはどこで知り合ったんですか?」  匠さんは、物おじしない様子で質問してくる。 「碁聖戦の大盤解説会に行った時に」 「ああ、遠坂先生の代理で解説をやった時ですね? なるほど」  匠さんは、納得したように頷いた。 「さっき聞いた、兄の方から猛アタックしたというのは、本当なんですか?」  ――結構、ぐいぐい来るよな。  人見知りと聞いていただけに、俺は意外な思いだった。 「まあ、猛アタックっていうか……。確かに、彰から告白されたけど」 「へえ、信じられないな」  匠さんは驚いたように目を見張った。 「ああ、失礼。いえ、これまでの兄の恋愛って、向こうから言い寄られて何となく、というケースばかりだったから。兄が自分から告白した相手って、風間さんが初めてじゃないかな」  ――マジかよ。  俺は不覚にも、何だか嬉しくなってしまった。思わず頬を緩めた俺を見て、匠さんはふっと黙り込んだ。一瞬彼の目に暗い光が宿った気がして、俺は少し不安になった。 「匠さん、どうかしました?」

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