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第51話 されてばっかじゃないんだからな
「何だかなあ……。もうちょっと、色気のある言い方はできない?」
ぶつぶつ言いながらも、彰は案外素直にベッドに仰向けになった。俺は奴の上に馬乗りになると、シャツのボタンを外し始めた。現れたのは、相変わらず綺麗な筋肉。
――こういうの、細マッチョとか、いうんだっけ……。
そんなことを考えながら、俺は彰の乳首にちゅっと吸い付いた。前回奴にされたことを思い出しながら、もう片方の乳首も指で弄ってみる。しかし、いくら続けても、彰に感じている気配はいっこうに見られない。
――おかしいな。同じようにやってるのに……。
俺はもう一度、手順を反芻してみた。片方をねちっこく舐められて、舌の先でつつかれて。そしてもう片方は、指でつままれて転がされて……。
不意に、下半身がずくりと疼いた。彰に受けた愛撫を鮮明に思い出したことで、身体にその興奮が蘇ったのだ。まずいことに、彰はそれに気付きやがった。
「昴太。本当は、するよりされたいんでしょう?」
言いながら奴は、俺の足の間をちょんちょんと膝でつつく。完全に硬くなったそこを刺激されて、俺は思わずあっと声を漏らした。
「馬鹿! 俺がするっつってんだろ!」
頭に来た俺は、乱暴に彰のベルトを外しにかかった。奴のその部分も、すでに盛り上がっている。
「お前だって、興奮してるんだろうが……」
「昴太を前にしたら、いつだって興奮するけど?」
この期に及んで、相変わらずの減らず口。俺は、一気に彰のズボンと下着を脱がせると、勢いよく飛び出してきたそれを咥えた。さすがに不意打ちだったのか、奴がうっとうめく。
――ざまーみろ。俺だって、されてばっかじゃないんだからな……。
大学時代に付き合ってた奴にしてやっていたから、一応コツは分かる。舌と唇を使って追い上げると、それはあっという間に大きくなった。気持ちいいのだろうか、彰は俺の頭に手を伸ばすと、髪をつかんだ。前髪を、弄ぶように指に巻き付ける。でもその指は、少し震えていた。
――そろそろ、イクかな……。
しかしその時、突然俺の頭は引き剥がされた。
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