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第52話 今日は、顔を見ながらしたい
「何だよ!」
――もうちょっとで、イカせられたのに……。
彰は、するりと俺の下から抜け出ると、逆に俺の腕をつかみ、ベッドに押し倒した。
「もう十分してもらったから。イクなら、昴太の中でイキたいしね……」
平然とそんなことを言いながら、彰は俺のタンクトップを脱がせる。さらにハーフパンツに手をかけると、あっという間に下着ごと脱がせた。高々と片足を持ち上げられて、俺は思わず叫んだ。
「やっ。ちょっと、待っ……」
「今日は、昴太の顔を見ながらしたいな……」
――こいつ、人の話聞いてねえだろ!
言い返してやりたかったが、正直俺自身が限界だった。俺のものは完全に勃ち上がり、だらだらと大量の先走りを流している。彰は愛おしげにそれを撫でると、先端に軽くキスをした。思わず、身体がビクンと跳ねる。その隙を逃さず、彰は俺の後ろに指を滑り込ませてきた。情けないほどどろどろになっていたそこは、あっさり奴の指をのみこんだ。
「もう毎回、ローション要らずじゃない?」
何だかむかつく台詞が聞こえた気もしたが、俺は黙って力を抜いた。彰の長い指が、俺の中をゆっくりとかき回す。
――気持ちいい。
二本、三本と指が増やされる。バラバラに動かされる指に次々とイイ所を擦られ、俺はシーツをぎゅっと握りしめて快感に耐えた。
「うっ、んん……」
「挿入 れるよ……」
指が引き抜かれると同時に、彰が一気に押し入ってくる。俺は反射的に、奴の背に腕を回していた。
「あっ、ああっ……」
「昴太。大好き……」
彰は、俺の両脚を肩に担ぎ上げると、上体を倒してきた。より深く貫かれる感覚に、俺の口からは悲鳴に近い喘ぎが漏れる。おまけに、彰が抜き差しするたびに、俺のものが奴の引き締まった腹で擦られるのだ。強烈過ぎる快感に、俺はもう、訳が分からなくなってきた。恥も外聞もかなぐり捨てて、奴の背にしがみつく。
「も、無理……あっ」
抉るように最奥を穿たれ、俺は欲を吐き出していた。一拍遅れて、彰が俺の中に精を放つ。最後の最後まで、俺の腕は奴の背に巻き付いたままだった。
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