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第63話 もっともっと愛してあげるから

「放せって! 人が来たらどうすんだよ!」  ――いつ他の客が来るか分からないってのに、こいつは何を考えてんだ……。  俺はじたばたと暴れたが、彰は俺の上半身を両腕で、足を自分の足であっさりと押さえ込んだ。後ろに当たる硬い感触に、俺はぎょっとする。 「昴太……」  妙に艶めかしい声で囁くと、彰は俺の首筋にねっとりと舌を這わせ始めた。両手はすでに俺の胸の突起を捉えていて、そうなれば俺はもう降参するしかない。 「んっ……。な、なあ……。手か口でしてやるから、んっ、こ、ここで最後までってのは……」  一応言ってみるものの、喘ぎまくりながら言ったんでは説得力も何もあったものじゃない。案の定、彰はあっさりと却下しやがった。 「僕のことは気を遣わなくていいんだよ? 昴太を満足させてあげるためなんだから」 「嘘つけっ……あっ、んんっ……」  ――絶対、お前がヤリたいだけだろうが……。  背後からは、さも申し訳なさそうな声が降ってくる。 「僕も、真剣に反省してるんだよ。これからは頑張って、もっともっと愛してあげるから……」  ――これ以上頑張られたら死ぬから!  彰の両手は、いつの間にか下降している。奴は左手で俺の前を扱きながら、右手で俺の後孔を撫でまわす。それだけでひくついてしまうのが、まるで期待してるみたいで悔しい。 「も……止めろって……」  制止も空しく、彰の指は湯の力を借りて一気に入り込んできた。あっという間にポイントを探り当てられ、身体がビクビクと震える。 「ん……ああ……」  こうなったらもう、抵抗なんて不可能だ。俺はただ、されるがままだった。軽くほぐすと、彰は俺を抱いたまま立ち上がった。 「向こうを向いて……」  言われるがまま縁に手を着いた俺の後ろから、彰が入って来る。ことさらにゆっくりした動きに、俺は焦りを感じた。  ――誰かが来ないうちに、済ませないと……。 「彰っ。は、早く……」 「そんなに待ちきれない?」  ――違うけどな!  俺の真意が伝わったかどうかは不明だが、彰は俺の腰をつかむと、激しく動き始めた。ジャバジャバ、と湯が跳ねる。熱い湯気に包まれて、俺はもはやのぼせそうだった。 「あン! あっ、あっ!」  ――早く、人が来る前に……。  そう思うのに、彰の奴はなかなかイキやがらない。俺も、我慢しないとと思うのに、中を擦られるとついつい喘ぎ声が漏れてしまう。その時、がやがやと人が近づいて来る気配がした。  ――ヤバイ……!  その瞬間、彰がひときわ強く腰を打ち付けたかと思うと、中に熱いものが広がった。俺ももう限界だった。欲を放つと同時に、俺の意識はプツリと途絶えた。  

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