54 / 74
第54話
君に手を引かれ目的の部屋に着く。
「うわぁ・・・綺麗。」
俺の手を離さないまま君の歩調が早まる。
辿り着いたのはきっと一面のガラス張りの窓。
ここからの夜景に君がうっとりしてたのを思い出す。
「前に約束しただろ?今度は2人で来ようって。」
何年も前に交わされた小さな約束。
君は覚えてる?
「覚えてたんですか?」
たぶんびっくり顔で俺を見てるだろう君に微笑んで頷く。
忘れる訳ないだろ?
愛しい恋人との大切な約束なんだから。
「何年も掛かったし・・・一緒に夜景は見れなかったけどな。」
あの時見た景色を記憶の中から探り出してみる。
夜景より君の瞳の方が遥かに俺には綺麗に見えたっけ。
ともだちにシェアしよう!