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第54話

君に手を引かれ目的の部屋に着く。 「うわぁ・・・綺麗。」 俺の手を離さないまま君の歩調が早まる。 辿り着いたのはきっと一面のガラス張りの窓。 ここからの夜景に君がうっとりしてたのを思い出す。 「前に約束しただろ?今度は2人で来ようって。」 何年も前に交わされた小さな約束。 君は覚えてる? 「覚えてたんですか?」 たぶんびっくり顔で俺を見てるだろう君に微笑んで頷く。 忘れる訳ないだろ? 愛しい恋人との大切な約束なんだから。 「何年も掛かったし・・・一緒に夜景は見れなかったけどな。」 あの時見た景色を記憶の中から探り出してみる。 夜景より君の瞳の方が遥かに俺には綺麗に見えたっけ。

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