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第56話
腰を抱き寄せて深く舌を絡めてると
背中に回された手が俺の背中を叩く。
「苦し・・・ですよ。」
離れた唇から溢れる不満に苦笑いする。
「ごめん、ごめん。久しぶりだからさ?」
「全く・・・」
俺の世界が闇に包まれてからは
君にこんなに深く触れる事が無かった。
怖くて・・・・・・・・・出来なかったんだ。
見えない現実を認めるのが怖かった。
手探りでなんて触れるんじゃなくて
ちゃんと目でも君の感じる姿を見たいと思ってしまうから。
「どうか・・・しました?」
動きの止まった俺に不安そうに聞く。
「久しぶりだから・・・緊張してきた。」
「実は・・・僕もです。」
2人同時に笑った。
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