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第4話
(…なんで、俺なんだ…)
齢30にして、βから突然Ωになった俺。
性欲は人並みにあった方だが、Ωのヒートがここまでヒドイとは想像もしていなかった。
しかも、どうやら抑制剤が効きにくい体質らしく、喉の渇きのように際限なくαを欲した。
「……はぁ、…はぁ、…あ、っくぅ」
着ていた服はとうに脱ぎ捨てていた。
激しい自慰で吹き出た汗と、何度となく吐き出した白濁でシーツも自分も何もかもがグチャグチャだ。
「……は、…ん、……はぁっ」
…なのに、身体の熱は上がったまま。
「…どうなって…んだ。…全然…おさまんねぇ…」
何度イッても、俺のナカの疼きは治まらなかった。
自慰での行為では、気持ちは騙せても身体を騙す事は出来ないのだろう。
それほどまでに、この身体はαを……都筑を求めている。
「……はぁ…ぁ…、……都筑」
…彼に抱かれている所を何度も想像した。それはひどく気持ちを高揚させたが、イク事は出来ても身体の熱を鎮める事は出来なかった。
「……あ、…くぅ、また…」
ドロドロに溶けたナカでは、指では届かない場所が刺激を求めている。
「………はあ、はあ、はあ。…こんなんじゃ、足んねぇ、……都筑…」
もう一度、都筑にされている自分を想像する。
「…あ、ああ、都筑。…もっと奥まで…突いて…くれ」
指を増やし、グチュグチュとナカをかき混ぜ出し入れする。
足りない刺激を想像でカバーし、何とか絶頂に導いた。
「……はあ、あ、…あぁっ」
と、その時だった。部屋の入口から声が…
「…………茨城」
「………え」
声のした方に目を向ければ、複雑な顔をした都筑が目元をうっすらと赤く染めて立ちつくしていた。
俺は慌ててシーツを手繰り寄せ、隠れるように頭から被った。
「……み、見てたの…か?」
「…声をかけたんだけど、鍵開いてるし、苦しそうな声がしたから…」
恐る恐る聞いてみると、少し拗ねたようなムッとした声で答える都筑。
「……そ、そうか……、ごめん」
「…ふ、なんでキミが謝るの。………それより」
「…………え」
「……ボクで、シてたね」
「…っ!?」
都筑が部屋に入ってくる。
俺の目を真っ直ぐに見据え、ゆっくりと近づいて来る都筑に心臓の音がバクバクと騒ぎだす。
「……ねぇ、茨城」
「……な、…んだよ」
ベッドの上で後ずさる俺に構わず、都筑もベッドへ乗り上げ俺の頬に触れた。
「……ボクと、シたいの?」
「…な、…そ、そんな訳…」
「……茨城」
「………」
「……ボクが、欲しい?」
都筑の瞳が俺を捉えて離さない。その瞳はαとしてΩを従えようとする強さを放っていた。
「…………は…ぃ」
「…そう。じゃあシてあげる」
魅惑的に笑った都筑が両掌で俺の頬を包みキスを落とす。
それだけで電流が走ったような快感に襲われた。
「……あ、…ふ…ぅ、…ぁ」
「…ボクとのキス、そんなに気持ちいいの?」
「………ん、…きもち…いい…、もっと…」
離れた唇が寂しくて、舌を出して乞うれば…
「…いいよ」
と、今度は激しく唇を奪われた。
「……ふ…ぅ、…ん」
口内に侵入してきた舌が俺の舌に絡み付く。俺も必死になってその舌に応えていると、ベッドに押し倒されていった。
都筑の手がシーツに包まれた俺の身体をさらけ出す。次いで唇が首筋を伝い、鎖骨へと降りていく。
「…や、待…て、都筑。…俺、ベタベタで…汚ねぇから…」
ふと気づき、俺は焦って都筑の肩を押す。
と、都筑はその俺の手首を掴み、ペロリと舐めた。
「…汚くなんかないよ。キミの匂いに、興奮する」
都筑は妖しい視線を寄越すと、今度は胸の尖りを口に含んだ。
「……はぁ、…あ、ゃ…」
吸い付き、甘噛みし、舌で押しつぶす。
都筑の執拗な愛撫に俺の口からはとめどなく矯声が溢れた。
都筑の手が俺の身体のラインをなぞり、勃ちあがったままの屹立にも触れる。
ビクリと反応すると、ギュッと握られた。
「はぁっ、……」
「…ねぇ、さっき、こっちは弄って無かったけど、なんで?」
「……え」
「…でも達してた。キミ、後ろだけでイけるの?」
「………ゃ、…ちがっ」
羞恥で腰が逃げそうになるのを、グッと引き戻された。
「…違う?じゃあ身体に聞くね」
「………え、あぁっ」
都筑の反対側の手が後孔に触れ、指がグチュっと射し込まれた。
「…すごいね。…ナカ熱くてトロトロだよ」
更にグッと奥まで挿れられると、コリッとしたモノに触れられた。
「あ、やぁ、あっ」
「…ああ、ここが前立腺だね」
「…ひっ、やめ、そこ…やぁあっ」
「やめ?茨城の口は本当に素直じゃないね」
都筑の指が前立腺を擦るように、何度も出し入れされる。
背を仰け反らせ、その過ぎた快感に身体を震わせていると、一気に絶頂まで押し上げられた。
「あ、ひっ、…くぅ、ああぁっ…」
身体をピンと突っ張らせ、やがて力が抜けて浅く呼吸をする俺に
「…ほら、身体は素直だね」
と、意地悪く笑う都筑。だがその目には欲が滲んでいる。
俺のナカから指を引き抜き、自身を取り出すとゴムを着けて俺の後孔に宛がった。
「…今度は、ボクのでイッて」
「…え、…ひっ、ひあぁああぁ」
ズブズブと自分のナカを推し広げていくソレに、今までにない圧迫感と快感に襲われた。
それと同時にやっとで都筑とひとつになれ、悦びにうち震える心と身体。
「…え?…あ、何?…こんな…」
戸惑うような声が都筑から聞こえたが、俺はそれどころではなかった。
「…はあ、あ、都筑っ、都筑っ」
と、熱に浮かされたように都筑の名を呼び、都筑が自分に覆い被さり抱きしめてくれると、その背に腕を回しギュッとしがみついた。
都筑の腰がグッと押し付けられ、最奥を貫かれる。…と、ソレが入口まで引かれ、また奥を穿つ。
段々と速度を上げていく抽送に、俺の口からは悲鳴のような矯声が上がった。
「ひっ、ああ、あっ、ああぁ」
「く、…っ、はっ、はっ」
苦しそうな息遣いに、余裕なく俺を求める都筑。
俺が都筑の頬に顔をすり寄せると、都筑は噛みつくように唇を合わせてきてくれた。
一層激しくなる肉を打つ音。
「ふ、…っ、う、んっ、んーっ」
「…っ、…くっ」
都筑の腰が俺を押し上げるようにグリッと打ち付けられた時、俺達は同時に果てたのだった。
事後処理をしてくれた都筑が、俺の首に首輪を着けてくれる。
「…新しいのを用意しようかと思ったけど、必要ないね」
「……え、それって、…え?」
「…次のヒートで、番にするから」
「…………え?」
「嫌なの?」
「………イヤじゃ、ないです」
と、顔を真っ赤に染めた俺に、可笑しそうに笑った都筑だった…。
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