5 / 8
第4.5話
その日俺は、ちょうど昼休憩が一緒になった鏡谷、灰原と昼飯を食っていた。
白雪「そう言えば茨城さん、毎日ソレ着けるようになりましたね」
眠「ぶっ。…よく見てんな、鏡谷」
白雪「え~、だってやっぱり気になるじゃないですか。ソレ、都筑さんに貰ったんですよね?」
眠「…そんな事まで知ってんのかよ。…まさか灰原がバラしたんじゃ」
透「ひどいな眠ちゃん。俺がそんな事するわけないだろう」
白雪「違いますよ。透さんに聞いたんじゃないです」
眠「じゃ、なんで…」
白雪「へへ~、それは秘密です」
透「白雪ちゃんの情報網は、俺でも驚くくらいだからな」
眠「……こえーな」
白雪「あ、誰彼構わず言ったりはしてないですよ」
眠「ああ。鏡谷がそんな事するよーなヤツだなんて思ってねぇよ」
白雪「ありがとうございま~す。で、その首輪を毎日するようになったのは、何か進展があったって事ですか?」
眠「な、なんでそう思うんだっ」
透「そうなのか?眠ちゃん。ではとうとう輝矢ちゃんと番に…」
眠「なってねぇよ!……………約束は…されたけど(赤面)」
白雪「そうなんですか?おめでとうございます!」
透「なんとめでたい。結婚式には是非呼んでくれよ、眠ちゃん」
白雪「あ、俺も俺も♪」
眠「お前ら、話が飛びすぎっ」
白雪「ええ?じゃあしないんですか?」
眠「なっ、そんなの、俺一人で決める事じゃねぇし…。……そもそも、番にするって…言われただけだし…(照)」
透「ふむ、では次のひーとで番になるんだな」
眠「な、なんで知ってんだよっ」
白雪「茨城さん茨城さん、透さんはカマかけただけですよ」
眠「う、…灰原、てめーっ」
透「はっはっはっ。眠ちゃんは分かりやすいなあ」
白雪「……あはは」
眠「…くそっ。………………な、なあ」
白雪「どうしたんですか、茨城さん?」
眠「…………噛まれるのって、…痛いかな」
白雪「え?…う~ん、俺は経験ないから分からないですね」
透「うむ、俺は噛む方だしな」
眠「…うっ、…だよな。わりぃ、忘れてくれ」
白雪「あ、なら、経験者に聞いてみましょうよ♪ちょっと待って下さいね」
眠「え。おい、経験者にって。いいよ、鏡谷。……て、誰に電話してんだよっ」
白雪「あ、怜?久しぶり~。……え?あ、そうだな。あはは。……あ、なあ、今時間大丈夫か?……うん。茨城さんが聞きたい事あるって。……サンキュー♪代わるな。はい、茨城さん。怜です♪」
眠「は?姫夜?」
怜『ご無沙汰してます、茨城さん』
眠「え?姫夜か?久しぶり。悪いな、急に」
怜『いえ。大丈夫ですよ』
眠「元気にしてるか?赤ちゃんは今は?」
怜『眠ってます。赤ちゃんも俺も元気にしてますよ』
眠「そ、そうか。…なら、いいんだっ」
怜『茨城さん?白雪から俺に聞きたい事があるって聞きましたよ?』
眠「いや、その、それは…」
怜『俺で分かることなら答えます。遠慮しないで聞いて下さい』
眠「…いや、そんな、…やっぱ、悪ぃし」
怜『……俺には、話せない事なんですか?(寂)』
眠「え?違うからなっ。姫夜に話せないって訳じゃなくって、俺が、恥ずかしいってだけでっ」
怜『…恥ずかしい?』
眠「うっ、何でもねぇっ」
怜『茨城さん?何があったんですか?』
眠「あったって、言うか、…これから、あるって言うか…」
怜『茨城さん、らしくないですよ?はっきり言って下さい』
眠「う、……、………たいのか?」
怜『…え?何ですか?すみません、聞こえなかったのでもう一度お願いします』
眠「……か、噛まれるのって、その、痛いのか…って…」
怜『は?…噛まれる?』
眠「……つ、番に、なる時だよ」
怜『え!?あ、ああ、その時の…噛まれる、ですね(照)』
眠「…そ、そうだよ。…その、姫夜の時は…どうだった…?…やっぱ、いてぇ?(恥)」
怜『え、あ、俺の時…ですか?…俺の時は…その…、確かに、痛かったと…思うんですが、…えっと、……それ以上に、幸せだった…ので、……(恥)』
眠「え、あ、そっか。そうだよな、変な事聞いちまって、ごめんなっ(照)」
怜『いえっ、俺の方こそ、お役にたてなくてすみませんっ』
眠「いや、俺が悪い!その、悪いついでに、出来たら忘れてくれっ」
怜『あ、はい。そうですね。…あ、泣き声』
眠「赤ちゃん起きたのか?じゃあ、切るな」
怜『すみません、茨城さん』
眠「いやこっちこそ、悪いな。じゃあまた」
怜『はい、失礼します』
眠「………………ふぅ」
白雪「どうでした?」
眠「…いや、どうって(照)」
透「なんだ?参考にならなかったのか?ではもう一人聞いてみるか。…と、良いところに」
鈴「なんだ貴様ら、まだ食べていたのか?俺などもうデザートまで食べて、戻るところだぞ」
白雪「あ、美野崎さん」
眠「鈴ちゃん、居たんだな。俺らと一緒に食べれば良かったのに」
鈴「そ、それはっ、」
透「はっはっはっ。恥ずかしかったのだろう」
鈴「黙れっ、馬の骨!元はと言えば貴様が悪いのだろうがっ」
白雪「あれ?美野崎さん、首の所…」
鈴「っっ!!な、なんだ!?これは、何でもないぞっ」
眠「……赤くなってた、よな?」
白雪「はい」
透「俺が付けた噛み跡だ」
鈴「透!!貴様は余計な事言うなっ!!(赤面)」
透「そうそう鈴ちゃんや、眠ちゃんが噛まれた時に痛みがあるのか聞きたいそうだぞ」
鈴「はあ?痛いに決まってるだろうがっ!!それを貴様は、俺がどれだけ言っても聞かず…って、何を言わせるか!!(赤面)」
眠「……灰原、お前(呆)」
透「そうか、痛かったか。次は気をつけるとしよう」
鈴「次など無いわっ、たわけ者!!」
白雪「…茨城さん、参考になりました?」
眠「………人それぞれって、事だな」
こうして騒がしい昼休憩が終わったのだった。
数時間後、通路でたまたま会った都筑に
輝矢「……なるべく、痛くしないようにするから」
と、目元をほんのり赤く染めてにらむように言われた。
眠「……へ?…あ、おい、都筑?」
それだけ言って去って行く都筑を見送った俺は、一瞬にして頭が真っ白、顔は真っ赤になったのだった……。
ともだちにシェアしよう!