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「ほらよ。」
おっちゃんは言われた通り、袋を2つに分けてしょーちゃんに手渡した。
「はい。これはお前にやる。」
赤と黒の方を俺に渡してきた。
満面の笑みで誇らしげに言う、しょーちゃんが可愛すぎる。
地元のお祭りで人はそこそこ多い。
「…はぐれないように手でも繋ぐ?」
「バッカじゃねーの。繋ぐわけねえだろ。」
あっさり振られ、出し掛けた手を引っ込めた。
「あっー!!綿菓子食いたい。」
「じゃあ奢ってやるよ。」
一番スタンダードな白い綿菓子を買ってやった。
ガキの頃から変わらねえ、可愛い顔で喜ぶ。
「俺も一口ちょーだい。」
あーんと隣にいるしょーちゃんに向けて口を開くと、仕方ねえなと、一口放り込まれた。
甘っ…そーいや、甘いの苦手だったと今更気付く。
「他は欲しいもん、ねえの?」
綿菓子を食いながら肩が触れ合うくらいの距離で歩いていた、しょーちゃんが突然少し離れた。
しょーちゃんの視線の先を見ればーーー。
なるほど。
元テニス部のやつらがいた。
しょーちゃんの部活仲間。
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