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「……浩介?」 ついつい、昔のことを思い出していた俺の前を懐かしいヤツが通った。 あの頃よりも短髪で元から明るめの髪の色はそのままで。 顔立ちが前よりも大人びている。 でもーーー。 28の男にしては童顔だ。 そして、何よりも。 浴衣姿があの時の夏を思い出させる。 しょーちゃんが隣にいた、遠い記憶の夏。 ちょうど祭会場に懐かしい、夏祭りぴったりの曲が流れる。 「翔太?どうしたの?」 しょーちゃんの横から現れた浴衣を着た綺麗な子。 あぁ、そうかーーー。 あの時、言えなかったことがこんなにも後悔するなんて思わなかった。 「よっ。久々…これ、やるよ。」 しょーちゃんに渡したのは、線香花火。 花火大会の余韻でたまにやりたいっていうヤツがいるから、何本か用意してる。 「帰ってたなんて、知らなかった。」 そりゃあ、お互い様だ。 俺だって、しょーちゃんにあの頃とは別の彼女がいるなんて知らなかったし。

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