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口説いた相手は年増のオカマ? 2
「今日の新人代表誓いの言葉、さすがだったよなぁ。よっ! 優等生」
「えっ、ボクは優等生だなんて、そんなつもりじゃ……」
「だよな。何でおまえがシステム部なのか、オレにちゃあんと説明して欲しいよ」
無茶飲み男が気の弱そうな本多にしつこく絡む様子を見兼ねたのか、別の男が二人の間に入った。
「おい、加瀬。ちょっと飲み過ぎじゃないのか? いい加減にしておいたらどうだ」
「おっと、これは豊田様ではありませぬか。いやはや開発部のエリート様とあっては、お手打ちになっても仕方ありますまいが、何とぞどうか、命だけはお助けを」
無茶飲み男・加瀬創(かせ はじめ)が時代劇ふうの口調で、大名行列に平伏すかのようなポーズをとると、今度は豊田がイヤな顔をした。
「だから、そういう卑屈な態度はやめてくれよ」
「へっ、卑屈になって当然だろ」
全面禁煙という店が大半になってきたこの御時世に、いいのか悪いのか喫煙可という店内で、タバコをくわえて遠慮なく煙を吐き出した創は九人の仲間を順番に睨みつけた。
「開発部のおまえを筆頭に、製造部の日野、営業の松田……」
そこで彼は不満を一気に爆発させた。
「何でオレだけ『総務部業務課』なんだよっ!」
すっかり白けてしまった雰囲気の中、互いに目配せをしていた他の九人だが、
「だって配属決めたのは人事課で、オレたちじゃないし……」
そう日野が口を滑らすと、次の瞬間、向けられた鋭い視線によって、彼の身体は串刺しになっていた。
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