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口説いた相手は年増のオカマ? 6

 男がクローゼットを開けると、中に二着のスーツがハンガーで吊るされているのが見えた。創自身のものと、相手の男のものだ。どちらもメンズ、お相手が男であることは疑いようがなく、創は彼が上着のポケットを探るのをぼんやりと眺めていた。 「はい、どうぞ」 「ど、どうも……」  呆然としながらタバコを受け取ると、男は自分のライターで火をつけてくれた。 「洋モクなんて生意気ね。アタシにも一本ちょうだい」  黙ってパッケージを差し出す。  長くて白い、細い指でタバコを吸う仕草がサマになるこの男、それにしてもいったい何者?   彼がベッドに腰掛けてきたため、その顔をさらに間近で見る羽目になった創はピカピカの美男子の目元にうっすらと存在する皺を発見した。 (けっこうトシいってんじゃねえのか。もしや年増のオカマ? っつーことは、当然ゲイなん……だよな)  言葉づかいから、そういう人種ではないかと推察すると、相手は「なあに、見惚れちゃって」と言って、またしても妖艶に微笑んだ。 「いや、別に、その」 「キレイな瞳だね、とか、魅力的な唇をしているよ、なーんて言われたの、久しぶり。嬉しかったわぁ」 (うげげ……)  お互いのテンションが反比例する。それにしてもまさか、そんなベタなセリフで、しかもオカマを口説いていたなんて、見境がないのにもほどがあるではないか。 「おまけに、あなたみたいな若くてイイ男に、でしょ。長生きしてよかった」 (長生き、って……こいつ、いったいトシいくつだよ?)

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