7 / 136
口説いた相手は年増のオカマ? 7
ますます謎めいてくるこの男、だが、彼のような人物が酒場にいたとしたら、酔っ払いの目には美女と映るかもしれないし、そうなると、泥酔状態の自分が見誤って口説いた可能性は大。当然といってもいい展開だったのだ。
酔っ払いの口説き文句を真に受けて、男は喜んでラブホテルまでついてきた。二人並んでこの部屋に入って、それからコトに及んで……
「えーっ、ぎえぇ~っ!」
男といたしてしまった――考えがそこに到達すると、創は今度こそベッドから転がり落ち、腰をしたたかに打ちつけた。
「あらら、何やってんの?」
呆れた様子で声をかけられたが、それどころではない創はプチパニックに陥っていた。
「オ、オレ、おと、男と……」
「まあ、失礼しちゃう」
憤慨した様子の男は吸殻を灰皿で揉み消すと、創を睨みつけた。
「ゲイ・イコール・エイズなんて、昔の偏見もいいところだわ。ちゃんと検査を受けているし、何の問題もないわよ」
病気の心配はなくとも、男を抱いてしまった事実に変わりはない。
女性経験はそれなりに、人並み以上にあるかもしれないが、男相手は初めてだ。
男とヤッちまったなんて冗談じゃない。こんな過ちは忘れてしまいたい、そう、忘れるに限る。
慌てて着替えをし、ほうほうの体で退散する創を引き止めようとはせずに、男は謎の言葉を投げかけた。
「それじゃあ、またね」
ともだちにシェアしよう!