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まさかマジかのオカマ課長 3
月曜の朝、昨夜書いた辞表を内ポケットにしまい、凄まじい形相で乗り込むと、業務課のデスクで彼を待っていたのは、見た目が中年というより老人に近い貧相な男と、若い女の二人だけだった。
「……おはようございます」
なんだこいつら。
拍子抜けした創が挨拶すると、ほとんど老人の業務課課長の鈴木が嬉しそうにうなずいた。
「やあ、キミが新人の加瀬ヒロシくんですか、よろしく」
「いえ、ヒロシではなく、ハジメです」
「これは失礼」
次に鈴木課長はかたわらに立っている、製造部で使われている作業着姿の女子社員を紹介した。
高卒で採用されて三年目という彼女は顔の半分が目になっていた。要はつけまつ毛の上からさらに、マスカラを塗りたくっているのだが、そんな両目をパチパチさせながら創を見つめた彼女は嬉しそうにニンマリと笑った。
「山葉(やまは)ミチルでぇす、ヨロシクお願いしまぁすぅ」
脳に八丁味噌が詰まっている、一目でバカとわかるタイプである。
身体つきはなかなかだけど、と、好色な創はミチルの大きな胸の辺りに目をやった。
「まあ、まずはお茶でも飲みましょうかね」
「えっ、お、お茶って?」
急須にポットの湯を注ぎ始めた課長を創は唖然として見た。
(朝からのん気に、お茶なんか飲んでいていいのかよ?)
それだけ暇な部署なら、なおさら新人を配属する必要なんてないだろうと思うと、ますます不満が募る。
「さあ、一服どうぞ」
白地に青い模様の入った湯呑が差し出され、創は仕方なくそれを受け取った。
「は、はい。いただきます」
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