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まさかマジかのオカマ課長 4
椅子に腰かけ、なすすべもなく緑茶をすすっていると、しばらくしてから一階フロアの呼び鈴が鳴った。
と、「業務課宛ですよ」と促す声が聞こえて、ミチルが席を立ってそちらに向かう。外部からの訪問者は皆、このビルの一階を訪れる。総務部がそんな人々の受付の役割をしているのだ。
「はぁい、ごくろうさまぁ」
宅配業者に媚を売ったあと、引き返してきた彼女は「加瀬さぁん、さっそくですけど、お仕事でぇす」と創に向かって言った。
「仕事?」
「開発部へのお届け物なんですぅ」
業者から受け取った荷物を四階の開発部まで届けろということらしい。
これが業務課での初仕事か。仕方なく立ち上がると、鈴木課長が紺色の作業着を目の前に差し出した。
「スーツじゃ汚れるからね、この服を着ていってください」
大卒の、ホワイトカラーのはずだったのに、これじゃあまるで作業員、ブルーカラーじゃないか。大学で学んだことは何ひとつ役立ちそうにない。
内心不満たらたらだが、黙って作業着の袖に腕を通した創は台車を持ってくると、廊下に置かれたダンボール箱を十箱ほど乗せて、エレベーターへと向かった。
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