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まさかマジかのオカマ課長 7

 ものすごい美男子が、これまたものすごい格好をして、しゃなりしゃなりと歩いてくる。背景にバラを背負ったように見えるのは幻覚か。  白いスーツにピンクのワイシャツ、真っ赤なネクタイ。長めに伸ばした髪は褐色、靴は白のエナメル素材で、ド派手という形容詞しか思い浮かばない。  ホスト顔負けのファッションでキメた男の姿に度肝を抜かれた創だが、その人物の顔に見覚えがあるとわかると、彼は台車を抱えたまま、四階から一気に転落したような、絶望的な気分に陥った。 (ウ、ウソだろ? マジかよ、ウソだと言ってくれーっ!)  それはまぎれもなく、金曜日にラブホテルで一夜を共にした年増のオカマだった。  まさか相手が開発部の課長とも知らず、これまたS駅付近で、一人で飲んでいたところを口説いて関係を持ってしまった、と推察される。  まさに衝撃の事実、目の前が真っ暗になっていくのを感じた創の膝がガクガクと震え出した。 (なんで課長がオカマなんだよーっ) 「課長、中村電子からのサンプルが届いていますけど」 「あら、そう。ありがと」  そんなこととはつゆ知らず、平然と声をかける新入社員に、オカマ課長こと、天総一朗お得意の、妖艶な微笑みがお返しされる。 「ついさっき、こちらの業務課の加瀬くんが届けてくれました。同期なんですよ」 (あーっ! もう、紹介なんかしなくてもいい、余計なことを言わんでくれよ!)

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