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まさかマジかのオカマ課長 10
「仕事中もあの調子?」
「まあね」
部下たちに何事かを指示する総一朗の声はここまでは届かない。おネエ言葉カットの無声映画状態だ。
あれで齢相応の髪型だったら、普通のスーツを着ていたとしたら、いくらか線は細いが充分立派なビジネスマンに見えるのだろうが……
「やれやれ、やっと終わったぁ」
「あ、そうだ。ウチから他所に運ぶものがなかったかどうか、訊いてくるよ」
豊田にしてみれば気を利かせたつもりだろうが、冗談じゃない。長居は無用だ、とっととずらかろう。
「い、いいよ。あとでまた来るからさ」
そう言い残した創は逃げるようにして、エレベーターの方向に引き返した。
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