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ミスターエンジェル 6

「ゲイ……もそうだけどさ、オカマ……近頃じゃ、おネエって呼ぶのが主流だっけ? とにかく、どうしてそんなふうになったのかなって。普通にしていればすごくモテたはずだし、その……」 「やっぱり、まずくなる話題だったわね」  嘆息した総一朗はワインで唇を湿すと、憂いを帯びた目で創を見た。 「アタシが生まれたとき、まわりの誰もがまるで天使のような赤ちゃんだって、そう言ったらしいわ」 (おいおい、そこでもエンジェルかよ)  呆れながらも黙って聞いていると、我が身を嘆いているのか自慢話なのかわからない彼の話は淡々と続けられた。  総一朗曰く、エンジェルベビーはおとぎ噺に出てくる王子様のような美少年に成長したが、年頃になった彼はそこで自分の性的指向に気づいてしまった──女に興味が持てない、男が好きなのだ、と。 「はっきりと自覚したのは小学校高学年のときね。友達だと思っていた同級生を意識するようになって……サッカー部だったかバスケ部か忘れちゃったけど、爽やか系のイケメンだったわ」 「ふーん。じゃあ、そいつが女にモテて、さぞムカついていたんだろうな」 「アタシも女子には人気があったからお互いさまだったんだけど。小学校、ううん、幼稚園の頃から女の子にはモテまくりで」  創のいぶかしげな目に、本当よ、と総一朗は主張した。 「お友だちになってと言われているうちはよかったけれど、バレンタインデーとか卒業式とか、そういう機会に、本格的な告白を受けるようになったら、それを断ることによって、彼女たちを傷つけるのが心苦しくなったの」

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