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ナイスなミドルでライバル参上 6
見覚えのない人物に首をかしげるより早く、
「来ていたんだ。気がつかなかったよ」
そう応えたのは総一朗だった。
「青柳の姉さんから招待を受けてね。そっちもそうなんだろう?」
「まあ、そんなところだ」
総一朗がオカマではなく『素』の顔に戻って応対しているこの男はいったい何者だろう。社内で見かけたことはないから、江崎の関係者でないのは確かだが……ただの友達? ……それともまさか?
(えっ、何かオレ、変じゃねえ?)
謎の男と総一朗の関係を邪推したとたんに抱いた感情が不安だとわかると、創はうろたえた。認めたくはないけれど、これは明らかに嫉妬と呼ぶ感情である。
紳士は創をチラリと見たあと、総一朗の隣の空いた席に腰かけ、近づいてきたウェイターに「アールグレイを」と注文した。
「仕事はどうだ? 休日出勤していないあたり、そう忙しくはないようだな」
「まあまあ、かな」
「こっちはついさっきまで、クライアントとの打ち合わせだ。せっかく花束まで用意したのに、姉さんの出番に間に合わなくて、わびを入れてきた」
「それは御苦労なこった」
「おまえから花籠を貰ったと話していたよ。さすがに手回しがいいな。控え室まで業者に届けさせたんだろうが」
「出演者を煩わせないのが、招かれた者の心得じゃないか」
そこに自分など、まるで存在しないかのように繰り広げられる、大人の男同士の会話に気圧されていた創だが、この状況に対して次第に苛立ってきた。
(何なんだよ、オレは無視かよっ!)
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