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ナイスなミドルでライバル参上 7

 自己紹介も何もないまま、勝手に乱入してきた挙句、総一朗と二人だけの世界を作り上げた男に、はるかに大人で魅力的な紳士に醜い嫉妬心が疼く。  こちらの怨念が伝わったのか、紳士は創と総一朗を見比べるようにしたあと「余計な世話は焼かない方がいいぞ」と忠告した。 「それこそ余計なお世話だ」  それまで平静を保っていた総一朗の表情がいくらか凄味を帯びたように見えた。 「やれやれ、相変わらず辛辣だな。そうだ、メールアドレス変えたのか?」 「ああ。迷惑メールが多くて」 「中には迷惑じゃないものもあるだろう?」 「迷惑かどうかはボクが自分で決める」  肩をすくめた男はそれから、ゆっくりと立ち上った。 「それじゃあ、また。元気でな」  無言のままうなずく総一朗を見やると、彼は二つの伝票をつかんで立ち去った。  優しく、緩やかに流れるピアノの音が耳に戻ってくる。  乱入者は去ったものの、気まずい空気はその場に残ったままだ。 (何だよ、この雰囲気)  何事もなかったかのように振る舞うのもしらじらしいが、どう切り出したらいいのかわからない。  上目遣いに窺うと、小さな溜め息をついた総一朗はカップをソーサーの上に戻した。 (溜め息なんかついちゃって、オレはいったいどうすりゃいいんだよ)  不安が胸の痛みに変わる。指先を傷つけた時の、小さな切り傷のような痛みだ。 「何か言いたそうね」 「えっ、べ、別に」 「扶桑繁明(ふそう しげあき)。同級生で、元同僚で、元カレ。以上」  そう言い切ると、総一朗は真っ直ぐに創を見つめた。

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