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やり切れない想い 4

「さっきからうるさいわね。もう、年寄り扱いしないでよ」 「だって四十一だろ、オレは二十二だし。二十も違えば……」 「十九よ、十九!」 「同じようなものじゃねえか」 「二十と十九の差は大きいの!」  またまた始まったボケとツッ込みはまるで漫才、夫婦漫才のノリだ。  憤然としながら、総一朗はタバコとライターを懐から取り出した。  煙を吐く彼の顔をちらちらと見ながら、創は「開発部の課長って、給料いいんだろ? ボーナスもガッポリ貰えそうじゃん」と尋ねた。 「また、イヤなネタを話題にするのね」 「だってオレたちの給料じゃ、こんな店に出入りできねえもん」 「なるほどね。仕事に不満がある様子だけど?」 「あるある。大ありだよ」  怒りに任せて書いた辞表は机の引き出しの奥に放り込んだままだ。  もう辞めてやる、と何度思ったことか。だが、鈴木課長の嬉しそうな様子を見ると言い出せないまま、一週間が経とうとしている。 「鈴木さん、いい人なのよねぇ。いい人を通り越してお人好しなんだけど、そこに付け込まれて、もう何年も業務課長やってるわ。もうすぐ定年だし、本人もあきらめているのかもしれない」 「そんなに長いこと、あの仕事やってんの?」 「そうよ。だけど、あなた、鈴木課長以上にお人好しよね」 「はあ? オレのどこがお人好しなんだよ?」 「だって、あの課長に『加瀬くん、お願いしますね』って言われると断れないんでしょ? 思ったよりいい人キャラじゃないの」 「買いかぶりすぎだって」

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