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やり切れない想い 6
「……たしかに、業務課に対する上層部のやり方はボク自身、納得いかない部分が多すぎるよ」
ゴホッ、ゲホッ、いきなり『素』に戻った男を前に、創は咳き込んでしまい、喉を鎮めようと慌てて水を飲んだ。
どうやら真剣に語るあまり、総一朗はオカマを演じるところまで気がまわらなくなったらしい。イライラとした様子で、座卓を掌で叩く。
「そもそもだ、従業員のやる気をなくして、そのまま会社を辞めさせるために設けた部署なんて考えがおかしい」
すっかり圧倒されている創を前に、総一朗は演説をぶった。
「そんな、ひと昔前に決めたおかしな組織の体制をそのまま手つかずにおくなんて、健全な企業のすることじゃない。しかもだよ、さんざん人員をリストラしておいて、今になって新人を入れて存続の手を打つなんて変だろう。虫が良すぎるよ」
御説ごもっとも。総一朗は業務課を含めた、会社全体のあり方にずいぶん前から疑問を持っていたようだ。
「本来なら自分たちで分担するべき仕事を業務課に押しつけ、それでよしとする各部署の姿勢にも問題がある。そう思わないか?」
「はあ、まあ」
「業務課を廃止して、キミたち三人を然るべき部署へ配置転換するよう、今度の全体会議で提案するつもりだ」
それまで待っていて欲しい、と総一朗は言い、その真摯な態度に、創は神妙な顔をしてうなずいた。
直属の部下ではない創たちのことまでも、ここまで懸命に考えてくれるなんて。みんなに信頼され、尊敬を集めるのは当然だ。
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