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マジゲイへの道 2

 近くにいる社員に声をかけながら、目では別の人物を探している。が、辺りに総一朗の派手な姿は見当たらなかった。 (またどこかに行っちまったのかな、システム部かな)  それでもしぶとく、あちらこちらと視線を配る自分の姿に改めて気づくと、創はギクリとした。  昼休みの時間に、三組の気になる女の子を一組からわざわざのぞきに行った中学時代、今の行動はまさにそれではないか。  気になる女の子が──追い求める対象が年上のゲイになってしまった。なんてこった。 「それじゃあ、よろしく」 「了解しました」  頼まれた荷物を台車に乗せて任務完了。これ以上、この場所にとどまる理由はない。  気持ちを無理に押し込めながら、創はエレベーターのある方向へ、台車を引きずるように歩き出した。 「……あら、来てたの。御苦労さま」  そこでばったりと顔を合わせた人物、エレベーターから降りてきたのはもちろん、総一朗である。  いきなりの登場に心の準備ができていなかった創は台車ごと、後ろにひっくり返った。 「い、痛てて」 「大丈夫?」と差し出された右手、だが、照れ臭さのあまり、それを借りることができずに、創は自力で立ち上がった。 「怪我は?」 「ちょっ、ちょっと滑っただけだよ。何ともないって」 「案外おっちょこちょいなのね」 「うるせー」  荷物が床に散乱してしまったので、台車の上に積み直す。  創の作業を手伝いながら、総一朗は「おととい話した会議なんだけど、来週に延びちゃったのよ。もうちょっと待ってくれるかしら?」と訊いた。

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