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マジゲイへの道 4

 世の中の女性を、会社を、世間を欺くためにオカマを演じ続ける総一朗だが、それは創に対しても同じ。  なのに、扶桑繁明には『素』の顔で応じていた。つまり、彼には気兼ねすることなく、昔も今も本当の自分を見せているのだ。共に過ごした時間の長さが信頼の差につながるというのだろうか。 「何だよオレ、元カレに差つけられてるっつーか、負けてんじゃねーか」  不安、焦り、苛立ちといった負の感情がこれまで以上に強く、激しくなる。  そのまま金曜の夜を迎えたが、深夜近くになっても、総一朗からの連絡はまったくなかった。  S駅に程近い、マンションというよりは、このあたりにしては家賃がお安いアパートの一室で、ベッドの上に転がっていた創はとうとう携帯電話を放り出した。 「くっだらねえ。何でオレがあいつからのメールを待ってなきゃならないんだ?」  出会ってこの方、総一朗のペースにハマッて、振り回されっぱなしではないか。  あなたが気に入ったから、イイ男教育をするからと、一方的に宣言されて。  オヤジ好み、いや、どちらかと言えばオバサン好みとしか思えないような場所へと連れ回されて。  今まで接したことのない世界を体験して、物珍しさを楽しいものと錯覚したに違いない。きっとそうだ、あんなの楽しいはずがない。  そもそもだ、いくら若々しいといっても、どうして親子ほど年の差のある、それも男と週末を過ごす羽目になっているのか。  よくよく考えればバカげた話じゃないか。どうせつき合うなら、若くて可愛い女の子の方がいいに決まっている。

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