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マジゲイへの道 5

 こうなったら、もっと若者らしい遊び場へ出掛けてしまおう。連絡があろうがなかろうが、そんなの無視だ。知ったこっちゃない。  心の向きを無理に捻じ曲げ、あまつさえ声に出してみる。 「あーあ、明日は久しぶりにナンパしに行くかな、マジで」  女相手はご無沙汰しているが、大きな街に出れば、それなりに収穫はあるだろう。この部屋へお持ち帰りするのは気が引けるが、街中ならラブホの類いはいくつもあるし、上手くいかなければ風俗店でものぞいて……  そういえば、と創はあれ以来──総一朗とホテルに入って以来、自分で下の処理をしていないのに気づいた。  生産されたものを随時放出するのが男の身体であり、起床時、知らないうちに下着が濡れていたことはあった。  だがその時、女とヤッてるエッチな夢を見たのか、どうなのかすら思い出せないのは、あのオカマに振り回されて、体調を崩していたせいだと決めつけると、無性に腹が立ってきた。  とにかく、この状態は健康な二十代の若者らしくないと勝手な理屈を述べながら「今夜のオカズはどの子にしよう?」とばかりに、雑誌のグラビアをめくった。どのページでも、あられもない姿の美女たちが挑発的なポーズをとって、読者を誘惑している。  だが……勃たない。裸の女にまったく反応しないムスコに、創は焦った。 「げっ、インポになっちまったのかよ?」  いつでもどこでも戦闘体勢バッチリだったのに、この若さでドリンク剤やクスリのお世話になるのかと、彼は悄然とした。

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