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マジゲイへの道 7
深く息をつく。
とうとう、してしまった。あのオカマジジイをオカズにして、マスターベーションしてしまったのだ。
男とのセックスに嫌悪をおぼえるどころか、もう一度してみたい、総一朗を抱きたいと願うだなんて、自分は狂ってしまったとしか思えない。
創は悲痛な声で呻いた。
「オレってばどうしちまったんだ。なんで、なんで、あんなヤツ……」
それでも好きだ。
これ以上、自分の気持ちを誤魔化すのは無理だと創は悟った。
今まで感じた不安も苛立ちも自己嫌悪も、何もかもすべては総一朗を想う気持ちから。好きになってしまったから。
「何だよ、オレ、ベタ惚れじゃねえかよ」
モテて当然のイケメンゆえ、元カノにしろ誰にしろ、女たちに対しては不誠実でちゃらんぽらん。ずっとそうしてきたし、それでいいと思っていた。マジで恋愛するなんて、真剣につき合うなんて、オレには有り得ないことだとうそぶいていた。
そんな不誠実の塊のような男がここまで本気になるなんて、我ながら信じられないけれど、彼への想いに嘘はない。
そうと確認すると、ホッとしたような、それでいて罠にハマッたような、不思議な気分になる。これでいいのか? いや、いいのだと自問自答しつつも、そこで彼は新たな壁にぶつかってしまった。
肝心の総一朗は今、創のことをどう思っているのだろうか?
出会った日の出来事は遊びだったとしても、気に入ったとか、好みの男に教育すると言っているのだから、ある程度の好意を持たれていると自信を持っても、まず自惚れではないだろう。
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