58 / 136

マジゲイへの道 8

 問題はそこから先だ。  連絡が途絶えた、その理由──  総一朗の誘いに対して、創はずっと迷惑そうな素振りを続けてきた。本当の気持ちを隠して、というより、今の今まで気づかずにいた。「解放された、やれやれ」というセリフまで口に出してしまったのだ。そんなふうに嫌がられてまで誘おうとする者はそうそういない。  無理やりつき合わされている様子の相手に対して、さすがの総一朗も嫌気が差した、反応のなさに愛想を尽かした、創のことをあきらめたのだとしたら?   友情でもなく恋愛未満の、二人の中途半端な関係はこのまま途絶えてしまうだろう。  そんなのイヤだ、耐えられない。  声を聞かせて欲しい。  せめてメールを送って欲しい。  見捨てないで欲しい。  たまらなく切なくて、息が苦しくて、今にも胸が潰れそうだ。 「あーあ、とうとうマジゲイかよ。何やってんだよ、オレ」  泣きべそをかきながら後始末をして、再びベッドに横たわる。  後悔とも安堵ともつかぬ感情にどっぷりと浸っているうちに、創はいつしか眠りについていた。

ともだちにシェアしよう!