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江崎工業オールスターズ 5
「これまではそのやり方でやってきたからと、考えを改めない頑固さが当社には根強く残っていますが、労働人口の減少の折、そういう体質は決して利益を生まないだけでなく、当社にとって損失を招くだけで何のメリットもないと。このままでは就職希望者は減り、退職者が増える一方になるのは目に見えています。有能な社員の減少、これはすなわち、将来への展望にも逆行すると言っても過言ではないでしょう」
立て板に水とばかりにまくし立てた総一朗はそれから、業務課の現状について説明したあと、普段どのような仕事を行なっているのかを創に説明するよう促した。
「は、はい。では……」
緊張のあまり、足の震えが止まらない。
それでも一日の作業を何とか説明し終えると、管理職の面々から溜め息が漏れた。
「この加瀬君は工学部情報処理学科の出身ですが、その能力を生かしきれないというのはやはり損失だと言えるのではないですか。女性にお茶汲みやコピー取りばかりを頼む会社は当の昔に淘汰されています。また、不当な労働を強いる、残業代を未払いするような会社はブラック企業と揶揄され、若い世代だけでなく社会全体から糾弾されています。このような時勢において、先ほど説明した体制を残しているのは大きな問題だと思われますが、皆さんはどのようにお考えでしょうか?」
「たしかに問題は多いが……」
常務が唸るように言葉を漏らすと、そちらに向かって、総一朗はさらに詰め寄った。
「先日、私の方から御報告申し上げた件をおぼえでいらっしゃいますね? 製造部の若手を中心とした、一部の社員の間に不満が鬱積しており、就業への影響も懸念されているといったことですが」
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