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離れ小島の決闘 5

「ちくしょう! オレはな……」 「ちょっと、もういいから、こっちに来なさいよ。ほら、医務室に行くわよ」  気持ちが収まらない創を捕まえると、総一朗は彼の身体を引きずるように、事務室隣の医務室へと連行した。  いつもは専属の看護師が待機しているのだが、この時はたまたま留守のようで、勝手に救急箱を開けた総一朗は創を椅子に座らせると、顔に受けた傷の手当を始めた。手際よく消毒を済ませ、傷薬を塗り込む。 「いっ、痛えよ」 「うるさいわね、これぐらい我慢しなさいよ。あーあ、男前台無しね」 「ちぇっ」 「はい、おしまい」  箱を片づけたあと、総一朗は「会社内で乱闘騒ぎなんて、前代未聞だわ。何とか話がついたからいいけど、ヘタすれば懲戒免職ものよ」と、呆れた様子で言い放った。 「別に、クビになったらなったでいいさ。辞める覚悟はとっくにできてるし」 「また、そうやってひねくれる。三ヶ月は頑張るって決めたんでしょ、男に二言はなくってよ」  本当に話がついたのかという不安はある。乱闘の一件は上に報告しなければならないだろうし、経営陣がはたしてどういう判断を下すのか、あとになってみなければわからないが、まあ、その時はその時だと、創は開き直ってみせるしかなかった。 「クソッ、大学行ってた頃はあのぐらいの人数、どうってことなかったのに」  過去の戦歴、ゲーセンや酒場で起こしたチンピラ相手の喧嘩を思い出して悔しがる創に、総一朗はやれやれと溜め息をついた。

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