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寄せて重ねる…… 2

「コーヒーの銘柄も勉強しておくよ」 「そんなに気を張らなくてもいいよ」  総一朗は静かに微笑したあと、もう一度立ち上がり、壁際のコンポのスイッチを入れた。ボサノヴァのメロディーが静かに、低く流れ、愛を語るムードを否応なく盛り上げる。 「十九も年下の新入社員に興味を抱くなんて、自分でもどうかしていると思ったけど、あの夜からキミが気になって仕方なくて……本当はイイ男に育てるなんて、どうでもよかった」  カップを持つ手を止めて、創は目の前の男を見つめた。 「ルックスは合格だけど、中身はペケじゃなかったっけ? だから好みの男に教育するって」 「そうだったね。そんなことを言ったな。それはキミが粗野で、女性に関しては、ちょっとだらしがない感じがしたから……」  たしかに彼の言うとおりではある。が、ズバリと指摘されるのも面白くない。  創が不服そうに唇を尖らせると、総一朗は「ゴメン」ととりなした。 「まあ、女にだらしがないってのは当たってたけど」 「そう卑屈にならなくてもいいよ」 「だってさ……」 「年上で、開発部の管理職でもあるボクがどうやったら、よその部署の新人に近づけるのか。他にいい方法が思いつかなくて、あんな提案をしたんだ」  小さく溜め息をつくと、総一朗はタバコに火をつけた。 「キミという人物と接するうちに、自分の目に狂いはなかったとわかった。乱闘騒ぎは誉められたものじゃないけど、でも、キミはボクが思っていた以上に素晴らしい男だよ」

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