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激突! 元カレvs今カレ 3

 生ビールの中ジョッキを勧められた創は景気づけにそれを一気に飲み干した。 「おおっ、さすがにいい飲みっぷりだね」 「ど、どうも」  それからしばらくの間、三人と同席するうちに、創は自分の知らない総一朗について詳しい話を聞く機会を得た。  総一朗は過去において、あの元カレ──ミスター扶桑と一緒に、この店を頻繁に訪れていた。  別れたあとは別々に来るようになってしまったが、それでも常連客であったがために、女将は自分が出演する邦楽演奏会に二人を招待したのだ。  さらに、扶桑が中学から前の職場に至るまで、ほぼ一緒だった同級生であり、総一朗が本格的に、ゲイの道に入るきっかけとなる相手だったこともわかった。互いに離れられずに、同じ道を歩んできたのだろう。  その後、二人の関係が両親に知れて勘当されてしまうのだが、三十歳を目前にしたある時、「好きな女ができた。彼女と結婚して、普通の男として生きたい」という相手の言葉に、別れを決意したのだった。 「……家族が家族でなくなったあとに、男も手放しちまったんだろ。本人はけっこう辛かったと思うけど、そんな顔は微塵も見せなかったなぁ、テンちゃんは」 「おっ母さんが亡くなったときも、親父さんの意向で会わせてもらえなかったんだよな。気の毒に」 「そうそう。そのおっ母さんが入院しても見舞いにも行けず、葬儀も四十九日や初盆見舞いも禁止されたって話だぜ」 「でも、テンちゃんは長男だろ。跡取りの問題はどうなるんだ?」 「たしか姉さんが一人だけいるって聞いたぜ。嫁さんにいって、A市の実家の近くに住んでるらしい」

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