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激突! 元カレvs今カレ 5
そんな態度を挑戦的だと受け取ったのか、扶桑はわざとらしく余裕の笑みを浮かべると、創の隣の空席に腰かけ、女将に冷酒と枝豆、刺身の盛り合わせを注文した。
それにしてもだ、彼がこの場にいるということは、総一朗とよりを戻しました記念の「お忍びしっぽり温泉旅行」というセンは完全に消えたが……
ぐい飲みを空けたあと、扶桑の方から話しかけてきた。
「キミ、名前は何だったかな?」
「加瀬創です」
「今年の新入社員?」
「ええ。総務部業務課に配属されました」
「業務課か。噂には聞いているよ。社内でも問題が多発していて、けっこう大変な部署だってね」
元カレ対今カレの対決をオヤジたちが興味本位の面白半分に見守っている。観客を迎えて試合開始、白いマットのジャングルに放たれた気分だ。カンカンカンとゴングが鳴る。
相手は百戦錬磨のチャンピオンだが、いきなりタオルを投げるわけにはいかない、男の根性見せてやれ。気合負けしてなるものかと、創は強い口調ながらも冷静に言い放った。
「昨日、弊社にいらしてましたよね? どういう御用件だったんですか?」
「ちょっと話があってね」
総一朗がいきなり休暇を取る羽目になっているのに、ちょっとどころなわけねえだろ。なんてわざとらしい言い回しだとムカついて、さらに突っ込んでみる。
「お話の内容を教えていただくわけにはいきませんか? あの人と連絡が取れなくて困っているんですけど、その話と関係があるのではと推察したのですが」
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