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ハッピー・ウェディング 8

 翌朝、二人は半島を横断して、東から西海岸側へと移動した。  今日の天気も快晴で、ロマンチックツアーらしい、穏やかな気候である。 「ツアーの終点はね……」  総一朗は茶目っ気たっぷりに、目的地を告げた。 「ここで愛を誓った恋人同士は永遠に結ばれるという、ご利益バッチリ! のありがたーい恋人岬よ」 「マジでベタだよな……」  うんざりする創とは対照的に、総一朗は始終嬉しげで、すっかり御満悦の様子だった。  岬の先に設けられたこの地のシンボルであるラブコールベルを二人一緒に三回鳴らすと、想いが実るといい、鐘を鳴らした人たちには御丁寧に恋人宣言証明書まで発行してくれるらしい。 「ここで実際に結婚式を挙げた人たちがいるって聞いたけど、教会式と人前式がミックスしたみたいな感じかしらね。なかなかいいと思わない?」  四十代独身。結婚願望は人並みに、いや、それ以上に強いのだが…… 「どうせ式なんて、そう簡単には挙げられない身だもの、せめて気分だけでも、って思って。せつないオカマ心ってやつね」 「オカマ心ねぇ」  要は結婚式の真似事をやりたくて、ここまでやって来たのだ。  ベタだと思われたわりには、この地を訪れているカップルは多い。彼らの好奇の視線に晒されながらも、総一朗は創の手を引くと、ラブコールベルの前まで進み出た。

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