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15.すれ違い*

重い足取りでマンションにつき部屋に入る。 ゆっくりとリビングの扉を開けると明かりがついていない室内に男が物静かにソファに腰掛ける影があった。 久しぶりに見る表情(かお)は薄暗い中でもわかるほど鋭い顔つきで明らかに不機嫌だった。 いつも以上に重苦しい空気。 嫌でもその状況に体が固まってうまく足を進めることもできずにいる。 次はいつ…と考えていたはずなのに言葉はうまくでてこず緊張で唾を飲み込む自分の中の音が耳に響く。 覚悟を決め声をかけようとすると___ 「あの…わ!?」 突然腕を引かれ浴室の鏡の前に連れていかれた。 掴まれた腕は今にも骨がきしみそうなくらい痛みが走り表情が歪になる。 鏡に対して正面に向かされ、背中から腕を巻き込みながら抱き寄せるように片腕だけで行動を制された。圧倒的な腕の力になすすべなくその場に視線だけが泳いだ。 乱暴に上着を捲られ次の瞬間には身体中の赤い跡が露わになる……。 「……ひっ!」 身体中に嫌な汗が吹き出そうな状態だ。それが自分だと知りたくもないと視線を逸らした。しかし御縁さんはそれを許さず、鏡を見ろとでも言うように顔を抑えられ嫌でも視界に入ってしまった。 (あ……) 目を見開き視界に広がる淫らな痕跡。 「これだけお前に印をつけてやったのにまだ言いつけが守れないか。」 深く重くのしかかる声が聞こえる。 あまりの恥ずかしさに今まで直視できなかった胸元や脇腹、下へ下へと数え切れないほどそれはある。それは確かに今まさに自分を拘束している男に付けられたものでそういうことがあったと物語っている。 恐怖と羞恥で目を伏せてしまう。 そんな様子を見て追い詰めたと思ったのか後ろの御縁さんは俺の耳に顔を近ずけ吐息を吹きかけるとともに声をかける。 「バイト先は楽しかったか?」 「え…__」 初めは何を言っているんだと思った。 なぜ知っているのかと全て見透かされているような感覚に固まり鏡越しに感じる強い視線から離れられないでいた。そうでなくともただ以前働いていた店に顔を出しに行っただけでこんなにも不機嫌にさせたのは何故か。 「俺は言っておいたはずだ、大学が終わったらすぐ帰ってこいと。」 「違っ…それは……」 (ワケ)を話そうとしたがなぜか言葉が喉に詰まってしまったように先の言葉が発せられなかった。 それこそ御縁さんが一方的に言ってきたことで承諾もしていない。だがこの状況でそんなことを言えるワケがない。 ぐるぐると何が一番この場を乗り切るために最適かを考える。必死に思考を巡らせるが希望の答えは出て来ない。 「あの客には随分と好かれているようだな」 怪しげな笑みを作りながら淡々と語り出す。発せられる言葉が聞こえるたびに心臓の音が深く体に響く気がした。 「後ろを知って他の男が欲しくなったか?」 (な!!?) 最後の一言が体に刺さるように動機とともに痛みを感じる。 数十年ぶりに変わってもやっと再開した信じていた人にそんな風に思われていると思うとどうしようもなく苦しくなった。 触れられているのに身体中から体温が引いていく。 「ちがっ……」 「御丁寧に知らねぇ奴の匂いまでつけてきやがって…」 さらに深く眉間に皺を寄せながらこちらを睨まれ恐怖の中に腹立たしさがこみ上げてくる。 拘束された体のまま動かすことがままならない拳をさらに握り占めチクリと爪が刺さる痛みを感じる。 黙ったままいれば俺の体を抑えていた腕が緩みすぐさま再び腕をひかれ浴室の中へと促された。あまりの脱力感にそのままタイルの上に服のまましゃがみ込んでしまった。 キュッと聞こえる蛇口の音。もはやそれに意識を向ける力も起きない。 次の瞬間。 シャャャー…… 「っ……」 頭から降りかかる適温のお湯…。 そして身体に触れる固く大きな手の感触。 その手ははだけたシャツから見え隠れする鎖骨を撫で首、顎頬と上がってくると俺の顔を上に向かせ目を合わせる。 だが俺はもう虚ろな視線を送ることしかできない。 「一週間放置しただけで他に懐くのか?」 視線をまじわしながら御縁さんはそう言いながら悔しげな表情で俺を見る。 その表情が見ているこっちまで辛くなり必死に言葉を紡ごうとした。 「違…俺は……」 だがそれはやはり言えず開きかけた唇に噛み付くような勢いで唇を重ねられ口の中を貪られた。どんなに舌を引っ込めても引いた分入ってくる舌にからめられ頭と身体に痺れるような感覚が走り回る。 「ふぁ……ぁ…んぁ……」 「…………。」 浴室という場所によりピチャピチャと唾液が絡み合う音と自分の漏れるはしたない声だけが響き身体の内側と外側から攻められるようだった。 濡れた服が肌にくっつき身体にのしかかる重さを感じるまでに身体は言う事を聞かなくなる。 それなのに俺の性器は身体に反し強く脈打ち立ち上がり始めた。 心の中では嫌だ嫌だと繰り返す。 「んぁ……ひっ………」 ついに我慢がきかず目からはギリギリで抑えていたあふれんばかりの涙が大粒のように流れ出た。もう上半身を支えるのも困難になり倒れそうになった瞬間唇が離れ身体を支えられる。 指先一つ動かすことができない俺を抱き寄せ濡れた衣服を丁寧に脱がしタオルに包まれると抱えて寝室へと運ばれた。 意識朦朧とする中ベッドの上に落とされる……。 ジャラッ……… 慣れない違和感に気付くと両手を後ろに拘束されていた。力が入らない身体でもがくこともできずされるがままに不安が隠せない。 (……なっ…) 「少し反省が必要だからな」 そう言うと御縁さんは俺の後ろに触れひんやりとした液体をかけているのがわかった。火照った身体に伝う冷たさが気持ちよく思っているっとついこの前知ったばかりの激しい異物感と電気が身体中に走る。 「やっ……いゃっ…おね……がぃ………」 必死の声に反応は返ってこず腰に走る痺れと恐怖に肩の震えが収まらない。 どんどん圧迫感を増していき抜き差しされるたびに前も疼き出す。 再び入ってくる指は中で蠢きついには一点を攻められあれほど力が入らなかった身体のつま先まで力み出す。 苦しい、辛い、前のモノはどんどん膨らみを増して今にも反り返りそうな状態だ。 だが限界の直前で指は抜かれ浅ましく物足りなさを感じている下半身に太き硬い機械的なモノを感じ取った。 「っひ!、な!?」 違和感に耐え奥へと入れられるそれに震えながらも「やめて」と訴えたが聞く耳を持たなかった。 ほぐされた中にグイグイと入ってくるそれが進みを止めるとカチッという音とともに中でグネグネと波打つように動きだした。 その動きは内側の壁を押し流れある一点いよく当たるように入れられている。 「はぁあ……んぁ…はぁ……はぁ………いやぁぁ…」 (な……これ…気持ち悪ぃ) 耐えられない、止めて欲しいと何度お頭では訴えた。 だがそれが言葉としてっはせることはできずただあえぎ苦しむばかり。 保っていた意識なんてたいしたことなかった。もうわけが分からずただ泣くばかりでいた。 それでも御縁さんは平然とした声色で俺に質問を投げかける。 「なぜ帰ってこなかった。逃げようとしたのか。」 「はぁ……はぁ…………」 話そうとしても今の状態では声が出ず首を横に振り否定した……。 「そうか、だがルールを破った罰は受けろ。しばらくそのままだ。」 カチッカチッ 御縁さんが部屋を出る瞬間、振動が強くなり身体中に電気が走る。 「い!はっ……は…ぁ……」 どう捉えたのか御縁さんは俺の反応を見て立ち上がり静かに寝室を出て行った。 このまま放置されるなんて壊れる!そう思い扉一枚隔てた向こうにいると信じて声をととけようとした。 「ひぃ、や……ごめ…ごめん……ごっめ…」 何度も何度も届かない声で言い続けるしかできなかった。 「んぐっ…あぁ!!!」 …………・・・・。

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