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第2話 ご主人様と対面
レイ子さんに連れられて、たぁ子は部屋を見て回る。
「ここのご主人様は5人兄弟。みんなが将来グループ会社の経営者になるの。私たちはそのサポートをする必要があるわ。たぁ子には次男のマコ様を担当してもらうから宜しくね」
「マコ様…ですね、分かりました!」
「温和で優しい方よ。ただ、マコ様は気難しい人よ。何度も担当が変わっているの。何か気になる事があったらすぐに相談してね」
優しく笑ってくれるレイ子さんに安心して笑顔で頷いた。とある部屋で足を止め、大きなドアをノックした。
「はぁい。」
「マコ様、担当のメイドが到着しましたのでご挨拶を。」
「入って」
ガチャと開けられたドアの前で頭を下げた。
「たぁ子と申します。ご主人様、本日よりご奉仕いたします。」
「たぁ子、ね。オッケー。下がって良いよ」
「マコ様!いけません!来客は私たちを通していただかないと!」
「レイ子、下がって?」
ふわふわパーマで愛嬌のある優しい笑顔で言う言葉に圧を感じてたぁ子は固まった。レイ子は失礼しました、ごゆっくり、とドアを閉めた。
ご主人様との初対面の印象は「女好き」だった。いつも勝手に女性を連れ込んでいるそうだ。
「はぁ…全く…。マコ様は無類の女好き。必ず誰かいるから気をつけて。あと、分かってると思うけど、ご主人様との恋愛は厳禁よ。ご主人様はいずれご結婚される方が決まっていますから、あのように他の女性を連れ込まれると困るから指導も必要なの。」
「指導ですか…?私なんかができるでしょうか。」
教科書に無かったことを求められ、困ってしまう。不安を口にすると、レイ子はたぁ子と目線を合わせた。
「できるかできないかじゃない。やるの。いい?万が一、他の女性と関係を持ってしまったら、私たちは責任を取らなきゃいけないわ。その責任は家族にまで影響が及ぶ。これは恐ろしいことよ。」
「そんな…。わかりました!頑張ります!」
「ご主人様はみんなお年頃。だから私たちメイドはご主人様の個性に合わせて対応しなきゃならない。もし対応が気に入られなければ、クビよ」
「え!?」
「聞いたわよ?家族のために借金返済。ヘマしないようにサポートするわね。」
頭をポンポンと撫でられて気持ちよくて笑う。髪を結び直してくれるレイ子は、優しい世話焼きのお姉さんだった。
「よし!次はおやつの準備よ!ちぃ子から習っておいで。私はご主人様のところに行くわね」
「ありがとうございました!」
(うぅ…ちぃ子さん怖いよぉ…。でも家族のために頑張らなきゃ!)
たぁ子は頬を叩いて気合いを入れた。
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