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第17話(ソロプレイ有)

体を清めなければと思ったけれども、そんな暇は、なかった。昨日魔物の血を浴びた時に、湯を借りたし、屋敷に通されたときも手を洗った。それ以降大したことはしていないから、そこまで汚れてはいないだろう。とにかく今は、この状況を何とかすることが、最優先だ。 「あ、」 何故。 思わず、声が漏れる。 下衣を脱ぎ捨てる行為にも、感じ入ってしまう。敏感になった肌に何かが触れる度、イリスはびくりと体を震わせてしまった。下着の中は、じっとりと湿り気を帯びていて、その高まりを如実に示していた。もう、この時には人の屋敷だとか、そういったことを考える余裕はイリスには、残されていなかった。 こうなったら、出すしかない。 彼は、仕方がないと言い聞かせ、己が忌み嫌う行為へと手を染める。 もはや、意味をなしていない下着を剥ぎとった。ぷるんと飛び出した欲望の象徴へ触れる。下生えを湿らせ、膨れた先端は、どういうわけか、いつもより敏感で。思わず腰が引け、情けない声が出てしまう。声を押さえるために、イリスは上衣を口で咥えるしかなかった。そうすると、今度は胸の辺りに甘い痺れが走る。イリスは戸惑った。ここで、快楽を拾ったことは、今までなかったからだ。恐ろしくもなった。直に触れたら、どうなってしまうのか。 イリスは、生唾を飲み込む。咥えた部分から、上衣の色がじんわりと変わっていた。 理性は完全に抑止力としての役割を放棄し、局部に触れていない逆手で、片方の乳頭を弄ってやる。短い爪で先端を引っ掻くだけで、更に下腹部に熱が溜まり、もう、どうしようもなかった。ただただ、気持ちが良くて。利き手にはぬらぬらと粘り気のある液体が、垂れ始めていた。それで滑りがよくなり、更なる絶頂にイリスは苛まれる。 いつもと同じようにしているだけなのに。早くも登り詰め、体内で作られた種が出口を求めているのがわかる。下から、押し上げられている。そんな衝動を感じる。 そして、何故か考えてしまう。 この手が、あの人のものだったなら? あの声で、今、好きだと囁かれたら? 「ふ、あ、」 チカチカと点滅する視界の端で、自身の利き手が、あの大きな手にすり変わった。そんなはずがないと、わかっているのに、ありえないと脳が指示を出す前に、思ってしまう。 そんな、風に、されたら。 最後は、あまりの気持ち良さに唇を離し、はしたなくも小さな声をあげてしまった。 引き締まった小振りな尻が、儚くも震える。 「んあああっ……!」 弾けて、溢れる。 己の浅ましさに、この行為への罪悪感に、イリスは涙を流す。彼はまだその涙に快楽の色が潜んでいることに気がついていない。 そして、揺れる臀部の奥で、秘められた花園が物欲しそうに疼いていることなど、考える余地もなかった。

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