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第18話
「は……」
ようやく、解放された。
イリスは、安堵した。一回達したところで、終わるだろうと思っていたら、おさまらず、結局二回目の絶頂を迎えたところだった。二回目もまた、昨夜のことを思いだし、感極まってから、その欲望を吐き出した。ドクドクと脈打つ体が、その激しさを物語っている。
しばらく荒い呼吸が部屋を満たしていたが、徐々に落ち着きを取り戻した。冷えた頭で考え、イリスはぽつりと呟いた。
「変だ……」
いつもとちがう。こんなの、おれじゃない。
仲間の家で粗相をするなんて。
しかも、最後は仲間の名前を呼んで果てるなんて。
イリスの取り戻しつつある理性が、つい先程までの己の痴態を責める。特に、下半身の惨状が羞恥心を煽る。
放出の直前に、暴れる砲身に下着を被せたため、周囲への飛散は免れたが、おかげで見るも無惨な布切れと化してしまった。中で粘っこい水音を立てる生暖かいそれが、何とも言えない気持ちにさせる。泣きたい気分だ。いや、もう泣いている。そして、一番そうさせるのは、体にまだ、甘く痺れが残っていることだ。
「っ……」
だが、いつまでもこうしてはいられない。この状況を誰かに見られでもしたら、社会的信用を失いかねない。勇者として、それは避けなければならないのだ。
イリスは、疲弊の取れない体を起こし、取り繕う準備をした。
まず、部屋の窓を開け、臭いがこもるのを防ぐ。そして、汗にまみれた衣類を脱ぎ、新しいものと取り替える。慰問の時は着替えを持つようにしているので、そこは不幸中の幸いだった。
後は、風呂を使わせてもらえれば、上々である。それは、リカルドに頼むしかないだろう。
着替えている途中で、ふとイリスは思い出す。帯革がいつの間にか外されており、ベッド横のソファにかけてあった。恐らくリカルドが寝苦しくないようにと、外してくれたのだろう。豪快なようでいて、細やかな気配りができる男だ。
そんなことを考えていると、昨晩のことを思いだし、イリスは、また顔が熱くなる。
思えば、誰かの前で寝こけてしまうなど、久しくなかった。気が張っていたというのが、一番大きいだろう。
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