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第5話(R15)

「あぁ……」  極限まで搾精を行われたエクエスは気を失い、再び、洗浄と着衣を医学者達の手でされると、宮殿近くに建つエクエスの屋敷に帰される。  元庶民で親なしの子どもだった故に、資産が殆どないとは言え、レクター随一の将軍があばら家に住む訳にはいかない。そんな理由から、王から与えられた屋敷だった。 「服が変わっている。帰ってきたんだな……」  エクエスはベッドから起き上がると、ぼんやりと自身の右手を見る。  一応、医学者達によって身体も清められるのだが、マッサージをしたり、衣類を替えたりして、エクエスが目覚めた時に少しでも気持ちが安らぐようにするのが、屋敷の者達の仕事だった。  そして、エクエスが起きたのを身測ったように、ドアが開いた。 「エクエス様、本日は一段とお疲れのようですね」  とエクエスに話しかけるのは屋敷の者の中でも1番、若い……というよりまだ年端もいかない幼い少年だった。  彼はエクエスの育った孤児院の子で、年は若い父親と子程、離れてはいたが、弟のような存在だ。 「他に誰がいる訳ではなし、そんなにかしこまらなくても良いぞ」  エクエスは少年に笑ってみせるが、今日はさすがに疲れているのか、その笑顔は若干引き攣る。この後には訓練もなく、休養をとったり、余暇を過ごしたりするだけなのだが、少年に笑ってみせるというたわいもないことさえ満足にできない。  そのことにエクエスは僅かにショックを受けた。 「ありがとうございます、エクエス様。あ、そういえば、先程、吟遊詩人の方が見えられて」 「吟遊詩人?」 「ええ、吟遊詩人の方が持ってきてくださって書状によると、たまには諸々のことを忘れ、ゆっくりと異国の音楽や旅の話でも聞いて何日か身体を休めよと書かれておりました。書状はこちらになります」  少年はベッドの上に腰かけるエクエスに歩み寄り、膝をついて、書状をエクエスに渡す。書状にはレクター・マグナ・インペリウム・フームスⅡ世と署名があり、王を示す王冠と個人を表す鷹の印も押印されていた。 「エクエス様が目覚められたら、お呼びしますということで客間でお待ちいただいていたのですが、お呼びしてもよろしいですよね?」 「ああ、頼む」  少年がエクエスの自室から出ていくと、少年の代わりに長い銀髪の人物が入ってくる。 「失礼いたします」

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