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第8話(R18)
「貴方なら……きっとできます」
「え?」
「貴方は私が歌い上げるどんな騎士よりも強くて、聡明で、清廉な方なのだから」
メテオアの美しい声がエクエスの耳には響く。
だが、その声はどんどん遠くなり、メテオア自体も消える。
「あ……」
次に目覚めた時、エクエスの前にはメテオアの姿はなく、代わりにいつも搾精の時のように、一糸纏わぬ姿で、どこかへと横たえられていた。
「こ、ここは……」
とエクエスは手足の自由の利かないながら、部屋を見渡す。
見たところ、宮殿の地下の搾精室のようだが、いつもの脚が左右に開脚する台ではなく、五芒星の描かれた円状の台へ手足を開かれ拘束されているようだった。
「ご気分はいかがですか? エクエス・フォルティア・ソラウニカ・アブソル将軍」
エクエスの耳にはいつも搾精を行う研究者の声が聞こえる。まだ搾精の時間ではない筈だし、不当に鎧を取り外し、一糸纏わぬ状態で、捕虜のように拘束するという無礼な振る舞いをされ、流石の気位が高くないエクエスも「何の真似だ?」と声を荒げる。
「ここからは彼に変わって、私が説明いたしましょう」
「誰だ?」
エクエスの怒りは収まらず、声を上げる。すると、そのエクエスとは対照的にいつも搾精を行う研究者ではない男がエクセルのいる部屋へと入って来て名乗る。
「私はファル・シターテ。人からは機械工学の租にして、生命工学の第一人者と呼ばれている者です」
エクエスとしてはそのような者に心当たりはないが、その者が言うには今の方法では何人もの強兵を作るのには効率が悪いとのことらしい。
「女側の遺伝子の相性もあるのですが、あまり将軍の遺伝子が強くないお子も生まれ落ちてしまうのです」
そして、ファル・シターテと名乗った男はとんでもないことを言い出したのだ。
「なので、国の女にではなく、将軍ご自身にお子を生み落としていただくのです」
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