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第9話(R18)

「な、何を馬鹿な……」  エクエスはどこからどう見ても、男であり、子を孕む器官も持ち合わせていなかった。 エクエスの当然とも言う反応に、ファルは笑みを浮かべながら、モニタに大陸の地図と、男女の人体図、そして、何かの紋様が映し出される。 「南洋の大陸……集落の名前や場所は明かせませんが、女があまり生まれない土地があり、そこでは男体に子宮を作る秘術を用いて、子をなすのです」 「南洋……子宮……秘術……」 「ええ、私は長年、その秘術を会得し、研究を重ねていたのです。そして、ほぼ完璧な確率で着床させ、産み落とすことができるようになったのです」 「研究だと……」 「ええ、いわゆる、淫紋という子宮を象った紋様を陣の上で将軍の腹部へ施し、一時的に将軍の体内には男性機能と女性機能を持たせるのです」  混乱を隠せないエクエスに、ファルは饒舌に説明をしていく。 「ああ、将軍の身体からは三日三夜といったところで、受精卵として生まれ落ち、その後は溶媒機での育成となるかと思われます」  本来ならば十月十日、エクエスの体内での育成が良いのだとファルは笑みを見せるが、それでは、双子等ではない限り、10人を産み落とすのに10年余りは経ってしまう。  また、エクセルが受胎している間は将軍としての機能は殆ど失われてしまう。 「と、まぁ、レクター王のご意思でもありますし、早速ではありますが、淫紋を施しますので、気を楽になさってください」  エクエスはあまりの展開についていけなかったが、ここで拒めば、自分は反帝国因子として、処分されるだけだろう。  自分だけではない。自分が生まれ育った孤児院にいる育ての父や兄弟達、屋敷で自分の帰りを待つ者達も。  エクエスとしては沈黙して従うしかなかった。

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