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第12話(R18)

 ドクンっ。ドクンっ。  という音が何度、エクエスの耳には聞こえただろう。  今まで、自分の精を注がれてきたレクター中の娘達もこんな悍ましい装置に繋がれて、国の為とは言え、特に好きでも愛してもいない男の精液を膣に直接、注入し、子供を身籠り、産み落としていたのだろうか。  三日三晩、腹で生育した卵を産み落とすので、陣痛を始め、胎児が産道の出口を押し拡げたり、その出口を切開する痛み等は女性が出産の際に体験するものよりははるかに軽いものだが、エクエスの腹部が凹み、筋肉のみになると、またネチネチと淫紋を施され、着床させる為に精液を注がれる。 「1日に100を目安に。何か、変わったことがあれば呼んでください」 と他の医学者へ言い、ファルはエクエスの膨らんだ腹をいやらしく撫でる。 「あァ……ハぁ、っん……」 「ふっ、母子ともに元気だ」 ファルはエクエスの膨らみ、濡れた陰茎には見向きもせずに、エクエスの前から姿を消す。 ちなみに、ファルが医学者に指示した100というのはもちろん、受精卵のことで、そこからさらに検査に回し、あまり発育の良くないものと良いものに選り分けて、培養液に入れていく。 「ぅ……っ……」  敢えて音を形容するのならゴポっという生々しい音が聞こえ、確実に着床させる為に器具と薬液が入れられ、性感を煽るように抜き差しが行われる。エクエスの腹は器具と自身の体液でまた淫らに揺れた。 「メテ……ォ……ァ……」  エクエスは意識が朦朧した中で、メテオアの姿を思う。  今までエクエスが見たどの美女よりも美しい銀色の髪。  それに、今までエクエスが見たどんな美女よりも美しく響く声に、美しく笑う顔。  エクエスは許されないこととは知りながら、異国の吟遊詩人であり、自分を騙して近づいたメテオアに心を奪われ、この非人道的とも言える国務に耐える心の支えにしていた。 「あぁ゛……」  器具の隙間から自身の精が漏れ出す。  漏れ出した精には血は混じっていなかったが、腹部の痛みや羞恥で戦では負け知らずで、鋼の肉体を持った将軍エクエスももはや限界に来た時だった。 「警告シマス、警告シマス」  エクエスが朦朧した意識をも手放し、目を閉じようとしたその時、どこからともなくけたたましい音が聞こえる。警告の内容は分からないが、音といい、声といい、とにかく、只事ではない。 「第1種有事ノ為、将軍ノ拘束ヲ解除。脱出経路ニオ進ミクダサイ」  その警告に、エクエスの手足は勿論、犯されるように曝されていた秘所も全て、器具や機械から自由になる。 今まで受けていた拷問のような施術にエクエスはまともに立ち上がれない中、それでも、円形の台から転げるように降り、床へ落ちていた布で身体を覆う。すると、通路の壁をつたい、這ってしまいそうになりながら脱出経路を進む。 暗い経路の中、一瞬、エクエスの目には人影が見えた気がした。

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