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第3話 side健吾

 今までの人生楽して生きてきたと思う。  実家も金持ちで小さい頃から教育熱心だった親のおかげで、難関大学にもストレートで合格。 躓いた事なんてなかったし、自分が思うように周りを動かす事もできた。  男にも女にもモテたしそういうので困ったなんて事は一度も無かった。  童貞卒業は中学の時。 よくある家庭教師のオネーサンに乗っかられて奪われた。っても途中から逆転して主導権握って好き勝手やらせて貰ったけどね。  でも、何かつまらなかった。 何もかも上手く行ってる人生なんてつまらない。  恋愛だって皆好きだ好きだ言ってきて、 一回だけでもいいからって言われてヤッたら その瞬間から束縛される。 やんわり断ったら執着される。 そういうのに疲れてたんだよ。もう。めんどくさい。 でも大学に入って、出会った。  イケメンで背が高くて頭もいい。 家も裕福でよほど困った事なんてない人生を送ってそうな男。 笑ったら幼くなる表情に泣かせてみたくなるような気持ちにさせられた。  声をかけてみたら、驚くほど天然で鈍感。 あまりの鈍感さに周りからそういう意味で誘われてるのにも全く気付かない。  話を聞いてみたら、鈍感過ぎて拗らせた過去を持っていて意外だった。自分が鈍感だって気付いてないし。 こんなに完璧っぽく見えるのに中身はポンコツとか…。 ……萌る。  それからはずっと一緒に居るように仕向けて行った。 色恋を匂わせて近寄って来る男や女は牽制して突き離した。それ以外の純粋に友達になりたい奴には牽制だけして俺と居る時だけは一緒に遊ばせた。  俺だけがお前の事分かってるって顔して、安心させて一番近くでお前には俺がいなくちゃダメだと擦り込ませた。  大学卒業後就職先も同じ所にねじ込んで貰った。 俺もアイツも優秀だから会社も両手を上げてウェルカム状態だった。  上手くやってるつもりだったんだ。 毎日のように一緒にメシ食って、俺のマンションに泊まる。もう、限界だった。 寝てるアイツを見て隣でシコる。 情けねぇ……。 25歳にもなって…純情かよ。  アイツの過去とかトラウマ知ってから、どうにか怖がらせないように優しく包んで囲い込んで…嫌われないように、逃げられないように…慎重にしすぎて、 もう7年…。 どんだけ拗らせてんだって、話。  そりゃ、俺もいい大人だから溜まるもんは溜まる。 アイツでシコッても溜まるもんは溜まる。 定期的にゲイが集まるバーに行って一晩だけの相手を引っ掛けて、アイツの事を重ねてヤったりしてた。 ……虚しい……。  もう、そろそろ強行突破してもいいんじゃないか?と思ったそんな時だった。  アイツから、大学時代の友達と遊ぶってメールが来たんだ。ん?誰だ?と思って聞いたらたまにバーで遊んでる何回かヤッた事のあるヤツだった。  行き先をGPSで確認したら、いつものバーじゃねぇかっっ!! 冷静さなんてぶっ飛んで車ぶっ飛ばしてバーに向かった。 バーに入ると、楽しそうに飲んでるアイツとニヤけた顔したヤツが見えた。 頭に血が上った。 ふざけんな、腕を掴んでアイツを引き寄せる。 そんな姿を見てヤツは殊更楽しそうにニヤニヤしやがった。 ◇◇◇◇ 「瑞穂、どういうつもりだ?」 「え??何?」  なんであのバーに行ったのか、あのバーの意味を問い詰めていく。 どう聞いても、よく分かっていない様子だから本当に知らなかったんだろう。 まぁ、一安心だ。  ただ、なんであのバーの事知ってるのか聞かれた時は少し焦ったけど…。 それよりも他の事が気になっていたんだろう。 瑞穂はその話題をすぐに切り上げた。  本当に鈍感男の瑞穂は自分が狙われてるのを分かっていない。 注意をしても、説明不足で意味が分からないと言う。 呆れてため息を付けば 「あ、溜息ついた!幸せ逃げちゃうよ!」  なんて言って、キレイな両手を俺の口に合わせてくる始末。 ベロリ 「あっ!舐めないでよ!」 そんなもんそこにあったら舐めるでしょうが。 ベロベロ 「やめてよ。くすぐったい!」 くすぐったいのは初めだけ。すぐ感じてくるよ。 「あ、指!!」  手の平から舌を這わせて、指を口の中に含んで舌で舐めまわしてやった。 ピチャピチャ。腕のへんまで唾液が流れてる。 「… …んっ …あっ、健吾っっ。やめて??」  あ、すっげー色っぽい…。 …ヤバイ。勃った。 「……クソッ。あんなに大事にしてきたんだ。もういいよな?」 半分やけくそみたいな独り言が漏れた。 「健吾?何怒ってるの?オレが健吾の好きなコと一緒にバーに行ったから?」 「………は?」 一気に萎えそうになった。 「だーかーらー!オレが健吾の好きなあのコとバー「お前もう黙れ」」 「…んっっ」  腹立つ腹立つ腹立つ!! もう、怒った!鈍感にも程があるだろう!! 怒りに任せて激しくキスを仕掛けてやった。  唇を舐めてノックして口を開かせ、瑞穂の口の中で俺の舌が暴れ回る、歯列を舐め回し瑞穂の舌を舌で追いかけて絡ませて強く吸う。滴がツーッと口から溢れた。  瑞穂の眉間にシワが寄って苦しそうなのが色っぽい。  グッと下半身を押しつけて、俺の硬くなったペニスを瑞穂のまだ柔らかなソコに擦り付けてやった。 「あっ………」   プハッとキスから解放する。 「なんでキス?」 「……お前が鈍いから」 本当に。鈍すぎて腹が立つ。 「だから、健吾は説明不足だって!」 ……ガックリ肩を落としてしまった。  瑞穂は、俺が男もイケる事を知っていた。 が、よりにもよって俺の好きな男がヤツだと言いやがった。どこでどうしてこうなった!? ヤツが何かを吹き込んだに違いない! はぁー。と大袈裟なくらい大きな溜息がでた。 「お前…は、男相手とかどう思う?」  もう、誤魔化すのはやめよう。 瑞穂にはストレートに告げていかないと、伝わらない。 「?オレはそういうの偏見ないよ!だって、人それぞれだしさ」  そうじゃなくて…と、瑞穂自身の相手が男ならどう?と確信に触れ、きちんと考えさせて結論を出させた。 「オレ…は、女の子は怖くて、でもそういう相手は女の……あれ?ね、ねえ健吾、オレ女の子で勃ったことない気がするんだけど…」  鈍感もここまでくれば希少だな。 今、瑞穂はパニックを起こしているだろう。 「……はぁ。まだ早かった?いや、何年たつよ?気付いてもなかったとは…」  パニック中の瑞穂を抱えて車でマンションまで送って行った。

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