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第13話 出張パニック

「…でぇ〜、そんなん、もう浮気でしょお〜?二人でホテル…エレベーターのりこんでいくなんてぇ〜」 「そうか…浮気…辛かったね……ヨシヨシ」  頭に手をポンポン乗せて慰めてくれる男の表情はとても優しくて、瑞穂はビールを飲んだせいもあって今まであった出来事を洗いざらい話してしまった。  イヤな顔一つせず自分の聞いてくれるこの男性はどこの誰だっけ? ああ、健吾に少し似ているんだ。  鼻をスンと啜って男を見つめる。 「名前…聞いてなかった……」 「ああ。斗真です。市井斗真。宜しくね」 「…とーまさん。て、優しいね…」 「あはは。そうかな?君は?なんて言うの?名前」 「あ…里見…みずほ……です」 「うん?みず……」  ◇◇  ……って、ココどこ? ホテル?にしては物が色々置いてあるし…。  ガチャッと扉が開き頭をタオルでガシガシ拭きながら下半身はスウェットで上半身裸の男、市井斗真が出てきた。 「あ、目が覚めた?」 「え?あれ?え…??」  身体に掛けられていたブランケットがハラリと落ち、自分の姿を瞬時に確認する。    ネクタイ…無し…シャツは…着ていない。スラックスも履いておらず、ボクサーブリーフのみの身体が現れた。  寝転がされていたのがソファだった事と、パンツは履いていた事で少しホッとした。 「あ…あの、オレ?」 「あー、あんまり調子良くなかったんだよね?オレもそれ忘れてて飲ませちゃったから……」 「え?あの…オレ変な事…」  え?致しちゃった系?でも、おパンツは履いてるし、特に下半身におかしな所も無いし…。 「盛大にリバース…」 「ーーーー!!っっ!!本当に!すみません!!」  ガバリと起き上がりフライング土下座。    あぁ、最悪だ…。 出会ったばかりの良い人にとんだ迷惑を掛けてしまった。汚したばかりでなく、気を失って運ばせるなんて…しかもお店にも迷惑かけて…それも全て対処してもらっちゃって…。 どうしよう…。 お金…は失礼かな。でも…。 「ハハ。そこまでしないでよ。今洗濯してるから、とりあえずシャワーしてくる?スッキリすると思うから」 「あ…はい…お借りします…」    なんて爽やかな笑顔なんだ…。 こんなオレに対して嫌な顔一つせず…。 「タオルと着替え…はオレので悪いんだけど出しておくから使って」 「何から何まで…すみません…」 「あはは、いいよ、いいよ。大丈夫。これも何かの縁でしょ?」 「斗真さん…いい人過ぎるよ……」 「あはは、よく言われるー。あ、携帯充電死んでるみたいだけど、充電しとく?」 「あ…」 「あ、ゴメンゴメン。勝手に見たわけじゃないけど…」 「あっ!そんな、大丈夫です。えと…じゃあ充電…お願いします…」 「OK。じゃあサッパリしてきて下さい」 「ありがとうございます」  パタンと脱衣所の扉を閉めてパンツを脱いで風呂場へ入る。  シャワーのコックを捻りお湯を頭から被った。   はぁーーーーーっ  盛大な溜息を吐いて、遠慮なくシャンプーやボディーソープを借りて洗わせてもらった。  なんとなく後ろをチェックしちゃったのはご愛嬌よ!ホラ!今からどーのこーのでって訳じゃなくて、何にもされてないかの確認だよ!  安心してカッチカチだったからね!    物凄くサッパリしてシャワーから出ると、タオルや新しいブランド物の下着にスウェットパンツとTシャツが置いてあった。  Tシャツやズボンはダブダブだが下着だけはピッタリサイズで、内心?という感じだったがサイズ間違えて買ったのかな?と思い使わせてもらう事にした。  カチャリと扉を開けてリビングへ戻ると、斗真さんがマグカップ片手にパソコンに向かって仕事?中だった。  「すみません。シャワーも何から何までありがとうございます」  「あ、サッパリした?ていうか、携帯充電したら電源入ったみたいでスゴイ鳴ってるけど…友達?彼だっけ?からじゃない?大丈夫?」  え?と思って携帯を見るとブーブー鳴っている。切れたと思ったらまた鳴って、メールが来て電話がまた鳴る…。  「ど、どうしよう!なんか怖いんだけど…」  「怖いって…まあ、確かに何か執念めいた物は感じるね…」  携帯はブーブー鳴ったままだ。  その時ピンポーンと部屋のインターホンが鳴った。

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