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第8話 死人花(5)

 ~咲夜視点~  「彼の死を知らされた時、私はショックと共に心の片隅では安堵してました……これでようやく解放されると……だから罰が当たったんです」    そう言うと、寒菊さんは自分の首についたチョーカーを、ゆっくりと外した。  そこには番痕がくっきりと残っていた。  「彼が亡くなったのはいつ頃でしょうか」  「3年前です」  「3年前……」  通常、番相手が死ぬとΩにある番痕が消えていく。期間に差はあるが長くて半年程で消える筈だ。3年も番痕が消えないのは明らかに異常だ。  「病院に行ってもホルモンバランスが崩れているせいだとか彼の死をあなたが受け入れていないせいだとか色々と理由を説明され、薬やカウンセリングを受けたんですけど……」  結果は変わらなかったっと……だとすると  「寒菊様、一つ質問してもよろしいでしょうか」  「は、はい」  「あなたはその番痕を『消したい』と思っていますか?」  「私は………いえ、そうですね消したいと……そう思います」  「それが例え彼の望みだとしても?」  「ええ……きっと彼は私を恨んでいるんだと思います、恨まれて当然だとも思います……でも………それでも……」  「消したいと?」  寒菊さんは涙を流しながら力なく頷く。  ああ、この涙は見覚えがある……  後悔し、懺悔し、許しを請うような眼差し  そこから流れ出る悲しみに一度触れてしまったら  俺の腹などすぐに決まった。  縁の名は分かった  縁の場所も分かった  縁の理由も分かった  ならば……  「寒菊様、お話しいただき有難うございました、それでは参りましょうか」  「え?……何処へでしょうか」  俺は少し驚いた表情を浮かべる寒菊さんにいたずらっぽく告げる  「貴方の縁を断ち切って差し上げます」

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