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お恥ずかしいことに、お互い服を脱いだら、もう半勃ちだった。
みんなと一緒に入らなくて良かったと、心の底から思う。
そそくさと浴室に入ると、達紀が髪を洗ってくれると言った。
「小宮美容院へようこそ。強めと優しめ、どっちがいいですか」
「うーん、じゃあ、優しめで」
こんな、どうでもいいごっこ遊びでさえ楽しい。
もこもこと頭の上にわたあめを作って、達紀はうれしそうだ。
シャワーでざーっと流してもらったら、鏡越しに目が合った。
「あの……体も洗っていいかな?」
顔が赤いのは、のぼせてるからってわけじゃない気がする。
「んと。はい、お願いします」
達紀は、ボディーソープのボトルを3回プッシュして、直接手に取った。
そのまま背中に伸ばして、首元を洗って、腕を洗って……少しずつ、胸に手が伸びてくる。
「ん、ん……」
「くすぐったい? 大丈夫?」
「……くすぐったくはない」
興奮してしまって、息が上がる。
背中と胸の辺りをぬるぬるとなで回されて、思わずか細く声が漏れた。
「……ぁ、」
「ここは? 触っていい?」
乳首の周りをくるくると触られる。
黙ってこくりとうなずくと、そのままの流れで指を滑らせてきた。
「は、……はぁ、んっ」
「可愛い。感じてる」
目の前の鏡には、とんでもなくだらしない顔をした自分と、バックハグで俺の乳首を触る達紀が映っている。
濡れた目をしていて、このあとどうなっちゃうのか、どうされちゃうのか……期待している自分がいる。
「ちんこも触っていい?」
「ん、」
ボディーソープで滑った手で触られるのは、ダメだった。
「あ、や……っ、ん、はぁっ」
「やだ? 気持ちいい?」
「ぅ、き、もちぃ……っ、はあ、ぁ」
「ぬるぬるだもんね」
クチュクチュと、エッチな音が浴室に響く。
右手ではちんちんをこすっているけど、左手は、太ももやおしりをさまよっていた。
「ねえ、あお。お尻にボディーソープが入ったら、人体に影響あるかな?」
「……、わかんない」
「してみてもいい?」
「指?」
「そう。痛かったらやめるから」
俺はこくりとうなずいて、立ち上がった。
「あお、キスしよう?」
「ん……」
音を立てて舌を出し入れされて、興奮してしまう。
達紀はキスしながらも俺の体をなでていて、どんどん心拍数が上がった。
どちらともなく顔を離す。
俺は鏡に手をつき、足を肩幅に開いて、少しお尻を差し出すような格好で待った。
「いい?」
「うん、挿れてみて」
達紀はしばらく俺のお尻を揉んだあと、そろりと指を挿れてきた。
いとも簡単に、つぷっと埋まる。
「…………っ」
「平気? 痛くない?」
「痛くない」
入っているのは、多分、第一関節くらい。本当に、ほんのちょっと。
そろそろと遠慮がちに、出し挿れしたり、穴の周りをくるくるといじったりしている。
気持ちいいよりは変な感触で、漏らさないか心配になる。
「ぁ、たつき、……ん」
「痛い?」
「……いたくはない、んだけど……、ぅ、うんち出てない?」
「出てないよ。出ても、流しちゃえばいい」
間抜けな発言なのに、達紀は笑わずにいてくれた。
しばらくそうしたあと、達紀は指を抜いて、再びちんちんを触り始めた。
「はぁ、……ぁ、たつき、俺も触りたい……」
「じゃあ、お互いしよっか」
向かい合って椅子に座り、俺もボディーソープを手に取って、達紀のちんちんに塗りつけるように上下した。
「ぅぁ……」
達紀は眉間にしわを寄せて、こらえるようにうめく。
お互い擦り合いはじめると、世界に没頭した。
「ぁ、あ……っ、ん、きもちぃ」
「うん、すごい。……滑ると気持ちいいね」
「はぁ、あ、んッ、ん……、んぅ、」
キスで口をふさがれて、下は攻め立てられて。
全身触られていたから、もう達してしまいそうになる。
「ぁ、あ……、たつき、出ちゃぅ、」
「いいよ、イッて?」
浴室に、甘ったるい声が響く。
「ぁ……あっ、イ、……ぁあッ、イッ……ぁあッ……!……っ……!」
ビクビクと体を震わせながら、熱を吐き出す。
出し切ると、倒れ込むように達紀の肩に額を乗せた。
そしてそのまま、達紀のちんちんをスピードをつけて擦る。
「ぅわ、待っ……、っはぁ、」
達紀が息を荒げる。
顔を上げると、達紀はぎゅうっと眉根を寄せて、余裕がなさそうに口を開けていた。
普段の達紀の声は、その優しい顔立ちによく似合う、穏やかな響きだ。
でも、こんな風に息を切らしている時は、まるで少年のよう。
そんな声で、余裕なく名前を呼ばれると――
「あ、あお……っ、イキたい。強くできるっ?」
「うん。イッて」
「……ぅぁ、……っ、イク……ッ!…………ッぁ、……!」
あごを跳ね上げて射精する姿は、すごく本能的だ。
滅多に見られない彼のこんな姿を、目に焼き付けたいと思う。
ゆったり湯船に浸かる暇はなかった。
性行為をするのに、30分は短すぎた。
笑っちゃうくらいお互い慌てて泡を流し、情緒も余韻も何もない感じで、バタバタと服を着て大浴場を出た。
スマホの表示は、23:28。
ギリギリ中のギリギリだ。
そして気づいた。
達紀まで明らかに湯上がりじゃ、おかしな話になってしまう。
「なんで気付かなかったんだろ……」
頭を抱える達紀をひとしきり笑って、とりあえずフロントに、上がった旨とお礼を伝えに行った。
そして戻ると、マッサージ機のあたりで、狂ったように髪の毛を拭く達紀の姿を見つけて、さらに笑ってしまった。
「外で散歩でもしようよ。風に当たればすぐ乾く」
「あ。そっか。そうだね……」
我に返って恥ずかしそうな達紀は、ちょこっと俺の右手に触れた。
繋ぐわけじゃないけど、ちょこっと触り返す。
お互いクスクス笑って、夜の湖を散策した。
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