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「それじゃあ、おやすみ。朝練は7:00からね」  達紀はそう言って部屋の電気を消した。  俺は達紀の布団の端っこで丸まって、緊張している。  めちゃくちゃうれしい。けど、こんな、密着して寝るなんて。  みんながいるし、絶対に変な気を起こすわけにはいかないんだけど――自信がないという意味でも緊張してしまう。  達紀が黙って布団に入ってきた。 「もうちょっとこっち来ていいよ」  小声で優しくささやかれたら、一気に心拍数が上がった。  しかし達紀は、そんな俺の内心を知ってか知らずか、腰の辺りに手を回して、ちょっと引き寄せるような仕草をする。  にじりと体をくっつけたら、達紀の肌のにおいを感じた。  嘆息。眠れるかな。  胸に顔を埋めたい衝動を抑え、仰向けのままじっと目をつぶる。  リラックスするよう深呼吸をしていると、達紀が、俺の手につんつんと触れてきた。  布団の中でそっと繋ぐ。  すると達紀は、俺の手の甲をするするとなでたり、指の間をなぞったり……。  要するに、手つきがあやしい。  しかし俺は俺で、はねのければいいものを、当然そんなことをするはずもなく、指を絡めてしまう。  達紀は、徐々に大胆に、俺の手の形を確かめるようになではじめた。  俺も応えるから、まるで手だけで交わっているよう。  周りに聞こえないよう、小さく吐息を逃がす。  寝相のふりをして、ごろっと達紀の方に向いた。  さすがに達紀はこちらには向かないけど、体は仰向けのまま、首だけこてんと、こちらに傾けてくれた。  綺麗な顔の王子さまが、目をつぶっている。  やばい。勃ちそう。  物理的に密着した状態で、さっきのお風呂の中のことを思い出してしまった。  あごを跳ね上げ、眉間にしわを寄せながら射精する達紀は……。  してはいけない想像を振り払い、仰向けに姿勢を戻す。  並んで寝られるだけで十分。  そう思うのに、体はじわじわと、ダメな反応を示す。  うっすら目を開けた達紀と、モロに視線がかち合った。  そして多分、俺の異変に気づいた。  さすがにまずいと思ったのだろう、ちょっとズレて体を離してくれた。  しかしそんなことでおさまるはずもなく。  俺はとんでもなく恥ずかしく思いながら、そっと布団を抜け出し、トイレに向かった。  個室で、息を殺しつつズボンに手をかける……と、後ろポケットに入れたスマホが震えた。 [ひとりでしてるの?]  心臓が飛び出そうになる。  なんて返せばいいんだ……。  泣きたくなりながら、「うん」とだけ送る。  すると、すぐに返信が来た。 [僕にされてるところ、想像して]  驚きのあまり、スマホを取り落としそうになった。  達紀が、そんなことを書いてくるなんて。  もどかしく思いながらズボンを下げ、左手にスマホを持ったまま、右手でちんちんを擦る。  するとまた、メッセージが送られてきた。 [咥えてるところ。思い浮かべられる?] [お尻も触ってる] [じゅぽっじゅぽって、音立ててるところ、想像してね] 「……ッ」  LINE画面に次々と送られてくる、エッチな想像。  字面を見ているだけで、興奮のメーターが振り切れそうだ。 [あおのちんこ咥えながら、乳首もくりくりっていじってる]  目をつぶって想像しながら、Tシャツをあごで挟んで、乳首をいじる。  声を出さないよう必死にこらえながら擦ると、台の上に置いていたスマホが震えた。 [これで最後。誰も見てないから、恥ずかしいくらいいっぱい擦って、誰にも見せられないくらいエッチな顔でイッてね] 「……っ、……」  次々と送信取り消しになっていく画面を見ながら、擦る手を速める。  左手の人差し指をなめて濡らし、お尻の穴の周りをくにくにといじりながら、ちんちんを擦った。 「………、……ッ」  上り詰める感覚。  言われなくたって、絶対にだらしない顔だ。 「……っ、ィ…………ッ、……!……ッ……!……!」  息を詰めたまま、ドクドクと吐精する。  お尻の穴には、第二関節くらいまで、指が入っていた。  いわゆる賢者タイムで、死にたくなりながら部屋に戻った。  よかった、みんな寝ているらしい。  達紀はどうだろうか。  寝ていて欲しいと願いながら布団に入ると、ばっちり起きていた。  そして、何も言わないまま軽くキスされ、頭をするするとなでられた。  恥ずかしい……けど、うれしい。  達紀はスマホをすいすいと操作したあと、画面をこちらに見せた。 [僕もしてくる。あおとおんなじくらい、エッチな想像するね。先に寝てていいよ。おやすみ]  王子さまは、わざと俺の足にゴリッとしたものを押し当てて、すまし顔のまま部屋を出ていった。    しばし呆然としていたけれど、すぐに、急激な眠気が襲ってきた。  朝早くから移動。たくさんバンドの練習をして、お風呂でイかせてもらって、トイレで抜いて。  体力タンクはすっからかんだ。  達紀がどんな顔で帰ってくるのか見たかったけど――それは叶わず、気づいたら寝てしまっていた。

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