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6-3
その週の土曜日。
達紀の家に行くと、結菜ちゃんのその後の話をしてくれた。
無事好きな子に住所を渡し、ついでになんと、キスしてきたらしい。
「ママには内緒って、はにかみながら教えてくれたよ」
「最近の小学生ってそういう感じなんだー……」
つい、とてつもなく頭の悪そうな感想を口に出してしまう。
達紀はクスクスと笑った後、そっと立ち上がり、カーテンを少し開いて外を覗いた。
「近所の子供も、ピンポンダッシュ犯も、宅配便もいない、かな」
振り返った達紀は、控えめに笑っている。
そしてそのまま俺の目の前に来て、床にぱたんと押し倒した。
「誰も来ないと思う。していい?」
心臓が早鐘を打つ。
俺はロクに声も出せずに、こくっとうなずいた。
舌を絡ませてキスする。
息が上がっているのは、ただ酸素が足りないからじゃない。
顔が熱いのも、9月の残暑が厳しいからではない。
興奮と、期待と、胸の高鳴りと。
「はあ、……ん、たつき、すき」
「うん。大好きだよ、あお」
きょうこそ、もしかして、と思って来たのは正直なところだけど、こんなに唐突だとは思わなかった。
達紀も、おあずけはもう限界だったのかも知れない。
「服、脱がしたい」
達紀は、俺のシャツのボタンひとつひとつを、緊張の面持ちで外していく。
全て開いて抱き起こされると、シャツははらりと床に落ちた。
達紀は手早くTシャツを脱いで、ぽいっと投げ捨てる。
そのままの流れで俺をお姫さまみたいに横抱きにすると、すたすたとベッドに運んで寝かせた。
「赤い糸、どこ?」
達紀は俺の左手を取って、小指を口に含んだ。
やらしい感じで音を立ててなめられると、性的に感じるところでもなんでもないのに、興奮してきてしまう。
「わ、かんな……はぁ、んっ……」
「ふふ、いじわる言ってごめんごめん」
手首、二の腕、わきのあたりキスされて、徐々に、期待しているところに近づいてくる。
思わず身をよじると、達紀は何も言わずに、乳首に吸いついた。
「……っ、ぁん、ん……、はぁ」
ちゅうっと吸われたり、舌先でチロチロなめられたり、ぐにっと押されたり。
達紀は胸を刺激しながら俺のズボンのファスナーに手をかけていて、そのまま器用に脱がされた。
「あお、勃ってる」
「ん、ふぅ……きもちい」
「僕のも、触って確かめて?」
達紀がくちびるを離す。
股間のところにそっと手を伸ばしたら、固くなっていた。
これを挿れてもらうんだと思うと、期待でどうにかなってしまいそう――怖がっていた最初とは大違いだ。
「達紀のちんちん、見たい」
達紀は目を細めて笑い、下着ごとズボンを脱いだ。
なめたい、と、衝動的に思う。
起き上がって口に含もうとしたら、おでこを押さえられた。
「ダメだよ。僕が先にイッちゃったら、挿れるときうまくいかないかも知れないし。あおの、してあげるから」
言われるままに四つん這いになり、頭だけ伏せて、お尻を突き出す形になる。
これも、最初は恥ずかしかったけど、何回もしているうちに気持ちよくなっていった。
俺たちは本当に、ちょっとずつちょっとずつ手探りでやってきたんだなと、少し感慨深い気持ちになった。
達紀はローションを手に取り、お尻の周りによくなじませて、ゆっくりと指を侵入させてきた。
「……はぁ……、ぁ」
「痛くない?」
「き、きもちぃ……」
いつもよりだいぶ気持ちいい。
体が、この先のことを期待しているからかも知れない。
達紀は、中を確かめるようにしながら指を抜き差しして、徐々にほぐしていった。
ちゅぷ、ちゅぷ、と、粘着質な音が、気持ちを膨れ上がらせる。
「あお、可愛い。腰揺れてる」
「は……、んっ、いつもの気持ちいいところ、触って」
達紀は、中でくいっと指を曲げた。
電流が走ったみたいに、体がビクッと跳ねる。
「……っ、ぁあ」
「ここだよね、あおが好きなの。うまく突けるかな。難しそう。できなかったらごめんね」
「おれも……達紀のこと気持ちよくしたい。けど、んっ、うまくできなかったら、ごめ、ぁあ……っ」
しゃべりながらもいいところを何度も触られて、体が跳ねてしまう。
時間をかけて、ゆっくりとほぐしてもらう。
ちゃんと、達紀のことを受け入れたい。
達紀は指を引き抜くと、俺の背中に覆いかぶさるようにくっついて、耳元で尋ねた。
「挿れていい?」
「ん、して……」
達紀が体を起こすと、俺はぽすんと横向きに倒れた。
脱力したままズルッとずれて正面を向く。
達紀は、上気した顔で俺を見下ろしていた。
達紀は軽く俺の脚を抱えると、少し申し訳なさそうに尋ねてきた。
「なんか、思ったより高く脚抱えないと入らなそうだな。姿勢苦しくなっちゃうかもだけどいい?」
「うん。……なんでもいいよ、繋がれれば」
達紀はくちびるを引き締めてこくっとうなずいたあと、俺の腰の下に枕を挟んだ。
かなりローションを足して中に塗りつけて、コンドームをつけて、その周りにもローションを足して。
「苦しかったり痛かったりしたら、言ってね」
固いものがお尻の間に当たった。
そしてそのまま、ずぷずぷと沈んでくる。
「…………っ」
苦しい、けど、達紀のちんちんが俺の中に入ってきてる。
ずっとずっと待ってて、こうして欲しかった。
パンパンに苦しいこの圧迫感さえ、俺にとっては、ひとつの実感だ。
いままさに愛されているのだという、実感。
「……まだ半分くらいなんだけど、大丈夫? 最後まで挿れていい?」
「ん。全部挿れて」
達紀は体重を乗せて、ぎゅうっと奥まで押し入ってきた。
「……っ、あお、これで全部」
余裕なく、こくこくとうなずく。
「大丈夫? 苦しい?」
「……苦しいより、うれしい」
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