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6-4
達紀がぎこちなく体を揺するのを、しがみついて受け止める。
ぬちっ、ぬちっ、と、繋がった部分から音がする。
「はぁ、……ぁん、たつき……っ」
「平気? 痛くない?」
ずーっと心配してばっかりの達紀に、お知らせしてあげないと。
達紀の首の後ろに腕を回して、ぎゅーっとしながら言った。
「達紀、俺ちゃんと気持ちいいよ」
「……ほんと? 気持ちいい? 僕だけ独りよがりになってない?」
「なってない。中、とっても気持ちいい」
達紀は、安心したように眉尻を下げた。
俺はちょっと笑って続ける。
「痛いとか苦しいより、うれしいの方が大きいよ。ずっとこうしたかったんだもん。本当に好きで大好きで、きっと達紀とエッチしたら」
「あお、ダメ」
達紀はキスで口をふさいでから、苦笑いして言った。
「そんな可愛い顔して殺し文句みたいなの。僕、何にもしてないのにイッちゃいそう」
「え? ぁ……っ、ぁあっ」
達紀はゆっくり動き出した。
長く息を吐きながら眉間にしわを寄せていて、多分、イかないように我慢してる。
「ん、……はぁ、ぁ……っ、んっ」
「……ぅゎ、だめ、全然もたなそう……」
初めてで、お互い余裕なんかちょっともなくて――いつだったか達紀は、恥ずかしそうに『ひとりでするときはこんなに早くないよ』と言い訳していた。
「はぁ、……いいよ、イッて。イッて……ぁあっ」
「あお、あおっ」
何度も名前を呼ばれながら奥を突かれて、気持ちよさに、何度もビクッビクッと震えてしまう。
達紀は息を切らしながら言った。
「イクね、……大好きだよ」
「うん」
「…………ぅ、…………ッ、……っ!…………!……、……っ!」
お腹の中で、脈打つのが分かる。
体がきしみそうなくらい強く抱きしめられて、好きな気持ちが止まらない。
「…………っはぁ、……はあ、はぁ……」
俺の胸の上にぺたっとくっついた達紀は、重力のままにずるりと引き抜いた。
お腹の中の質量がなくなって、少し切なくなる。
呼吸を整えた達紀は体を起こして、ちょっと泣きそうな顔で笑った。
俺のおでこを何度もなでる。
「うれしい。あおの中でイけた」
「よかった」
「あおは? どうして欲しいとかある?」
「……えっと、じゃあ。口と手でして欲しい、かも」
尻すぼみなおねだりになってしまった。
達紀は目を細めて笑い、コンドームを縛って捨ててから、俺のゆるやかに勃ち上がったものを口に含んだ。
「……ぁ、ん、んっ」
じゅぷ、じゅぽ、と音を立てて、顔を上下する。
ちんちん全体が達紀の唾液で濡れていて、手で握って擦られたら、とんでもなく気持ちよかった。
「あっ、あん、んッ……ぁあっ、きもちぃ」
達紀はちんちんの先の方をくわえながら舌で刺激しつつ、根元は右手でしごいている。
……と思ったら、左手がお尻の中に入ってきた。
「あぁッ、ん、それ……ぁ、はぁ、ぁあんっ」
こんなこと、されたことない。
中も外もでおかしくなってしまいそう。
「それだめ、ぁあ……っ、や、ん、ぁあッ」
「だめ? つよすぎる?」
くぐもった声で聞かれて、顔が熱くなった。
ほんとはダメじゃない。けど、恥ずかしい。
「ちょっとよわめようか?」
「ん、んぅ……、いい。そのまま、して……、」
消え入りそうな声で言ったら、達紀はぐっと中の1点を押した。
思わず声が裏返る。
「あぁッ」
「きもちいい? へいき?」
「ん、ん……っ、気持ちいい、ぁぅ、イッちゃうよぉ……」
しごく手が速まり、口での愛撫も激しくなる。
自分が乱れていくのが分かる。
「ぁあッ、も、……ぅ、イッちゃ、ぅ……っ」
達紀がお尻の中をじゅぶじゅぶとかき回した瞬間、頭が真っ白になった。
「あぁあ!……イクッ、イッ…………ぁああッ!…………!ああぁ……ッ!」
のけ反りながら、達紀の口の中に射精。
ビクビクと痙攣するのが止まらなくて、絶対達紀は苦しいって分かっていたのに、喉の奥を突くようにしてイッてしまった。
「ゲホッゴホッ」
「……ご、ごめんっ」
慌てて飛び起きると、むせる達紀は――いまにも笑い出しそうな顔をしていた。
「……ん。受け止めるのまで下手くそだった。あはは」
口元をぬぐった達紀がゆるっと両手を広げたので、体を寄せた。
ぎゅーっと強く抱きしめられて、とてつもない幸福感に包まれる。
「最後までできたね」
「うん。やっとできた」
達紀は俺の額にちょっとキスしてから言った。
「なんか、ホッとしてる。あおのこと好きだし、それって別に、セックスするとかしないとかなんにも関係ないはずだけど……でもやっぱり、普通のカップルがしてるみたいにしたいって、思ってたから」
優しい目でするすると頬をなでられたら……なぜか、いたずら心が湧いてしまった。
「達紀、エッチなことするときの慌てっぷりとか、すごい可愛いんだよ。優等生の小宮くんと全然違って」
わざとらしくクスクス笑ってみせたら、達紀は目を見張って言った。
「何それ。え、すっごい恥ずかしい。直す。そのうち慣れると思うしっ」
可愛いのは、そういう慌てっぷりだというのに。
「ううん。俺しか知らないからいいの。俺のせいでそうなってるっていうのも、なんかいいし。永遠にそんな感じでいて欲しい」
「永遠にはやだよ。そのうち慣れるから」
不服そうな達紀はやっぱり可愛い――可愛いなんて思う自分の変化にも、驚くけど。
俺は、まじまじと達紀の顔を見つめながら言った。
「なんか俺、達紀と出会って変わった。人って大事だよ。生きるためには、色々なものがものが必要だけど……食べものとかお金とか。でもやっぱり、1番大事なのは人なのかなあって、最近よく思う」
達紀に好きって言ってもらえたのも、バンドで楽しくやれている現状も、幸せなことだ。
自分や他人のキャラがどうとか決めつけていた頃とは、大違いだと思う。
達紀は穏やかに微笑んで言った。
「あおは、僕の人生の最重要項目だよ」
さらりと言う彼の凪いだ瞳に、俺は一生惹かれ続けるのだろう。
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